誕生日ちょぎさにタイトル
『付き合っている長義が高価な誕生日プレゼントを渡そうとしてきたからそういうの気にしなくていいよ、チューの一回でもしてくれたら満足だって!と言ったところ「ならばキスもしよう。持てるものこそ与えなくては」とか言ってふっかいキスかましてくる話』
深い蒼に見下ろされながら、頬に添えられた手の温もりを感じる。彼の手袋のスベスベとした感触が好きで、思わず頬を擦り付けていたら、より顔を近づけてきた彼が唇を押し当ててきた。
薄い唇はいつも潤いが保たれている為、触れ合うだけで気持ちがいい。ペタリと張り付いた唇を軽く吸えば、離れた時にはチュッと音を立てた。
直ぐにもう一度、今度は奪われるようにキスをする。押し当てるのではなく噛み付いてくるようなキスは、彼の意外と荒々しいところを思い出させて笑ってしまいそうだった。
するとそれがバレてしまったのか、腰に手を回され体を引き寄せられると、覆われた唇を強めにジュウと吸われる。
彼は細そうに見えて意外と筋肉があるから、こうして抱きしめられていると胸板の厚みを感じてドキドキしてしまう。
触れ合った体では、心臓の音すら自分のものなのか彼のものなのかも分からなくなる程混ざり合わさって、溶けてしまいそうだった。
間近でゆっくりと細められた瞳を合図に、小さく口を開ける。フッと笑った彼の吐息が唇にかかると、その口に今度は分厚い彼の舌が入れられた。
侵入してきたその舌は、真っ先に私の舌を捕まえると、チュクチュクと音を立てながら絡まってくる。
舌の裏が舐められる感覚に背中がゾクゾクとしては、溢れてくる唾液が口の端から漏れた。
頬に添えられていた手が、位置を正すように私の顔をさらに上向きにさせる。大人しくその動きに従うと、彼は唇を余すことなく触れさせながら、舌をさらに奥に入れ込んだ。
舌が絡まる度、頭にクチュリと音が響く。力が抜けそうになる体は、彼に支えられているせいかお陰か、離れることなくキスをし続けていた。
鼻にかかった声が漏れる。息継ぎする暇を与えられる度にハアと息を吐いては、吸えた頃を見定められてまたすぐに口を食べられた。
舐められて吸われて、舌がビリビリして限界になると、彼はわざとらしく触れるだけのキスに戻してくる。それが寂しくて私から舌を差し出せば、彼はまた目を細めて私の舌に吸い付いた。
頭も口の中もグチャグチャになる。ピチャピチャと鳴る音に、舌を絡められる感覚に、ずっと触れ合っている熱に耐えられなくなってガクりと力が抜ければ、彼はようやく唾液を垂らしながら唇を離してくれた。
「どうかな?君の望んだプレゼントだよ」
「……すみませんでした」