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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    ×同級生

    キスの日 2『キスして欲しいの?』



    「今日はキスの日なんだって」

    と、言った唯は膝を三角に折って座り、隣の彼を見る。何気なく、さっき野薔薇に言われた事を思い出しただけなんだけど。

    制服はとうに投げ捨てて、ラフなTシャツにジャージの部屋着、黒のマスクを着けている。動画を見ていたスマホから目を離して、棘は顔を上げた。
    小首を傾げて唯を見る。

    「ツナ?」

    棘の目はニヤリと悪戯に笑う。

    スマホをローテーブルに投げ出して、空いたその手でマスクを摘んでズラす。普段は隠れている口元の呪印。僅かに目を細めて、口元を緩めた。

    「ツナマヨ?」

    キスして欲しいの?と、何となく伝わるその言葉に、唯は赤くなった顔を隠して視線を逸らす。

    「…そ、そう言う、意味じゃなくて…!さっき野薔薇ちゃんに言われただけで…」

    恥ずかしくて、三角に折った足を抱え込む。蹲って、膝に頭を置いた。

    否…、キスしたくない訳じゃないけど。

    「おかか?」

    棘はゆっくりと唯の耳元に唇を寄せる。

    「ツナマヨ?」

    優しく、いつもよりもちょっとだけ低い掠れた声で呟いた。
    耳に掛かる唯の髪を掻き上げるように掬って持ち上げ、露わになった首元にそっと口付ける。

    「………っ?!」

    思わず顔を上げれば、棘の綺麗な瞳がすぐ目の前にあって。悪戯に微笑んだ彼の顔が、唯の唇を噛み付くように奪っていった。

    「ツナ」

    棘は真っ赤になって固まる唯に、満足そうに笑んで。ペロリと舌を出して見せる。

    ズラしたマスクの紐を片指で摘んで外し、ローテーブルに置いて。その手で唯の手を絡め取った。反対側の手が、唯の頬に触れて。


    「ツナマヨ?」


    悪戯に笑う棘は、もう一度同じ質問をする。



    “ キスして欲しいの? ”








    End***
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    recommended works

    _aonof

    PROGRESS時間と世界を跳躍するトリッパーな女主と夏油の話。救済系。
    あの春の日、あの少女を死から救えたら、私の選択肢はまた変わってただろうか?
    前中後編のうちの前編。まとめた。
    雨の音がずっとしている。水があちこちにぶつかり、跳ねては地に落ちるて流れていく音が重なり合って響いている。今、世界のノイズはそれだけで、通り過ぎていく傘がいつもよりも人間の情報を減らしていた。今は何も見たくない。特に『普通の人間』を視界に入れたくなかった夏油にとって、この雨はほんの少しだけ救いだった。行く宛もない。そろそろ戻らなければ門限に間に合わないと分かっていても、どうしても足を元来た道の方へ向けられない。帰っても今は誰もいないのを知っている。出迎えてもらったところでなんになる。そう思う自分と、傘も差さずに馬鹿みたいに濡れて、どうするつもりだと自分が問いかけてくるのを聞こえないふりをした。夏油は俯いて毛先から雨が滴り落ちるのをそのままに、ただただ黙ってただ足を進める。止まることは出来ない。自分が決めた道を歩んでいる。でも行き先が分からない。救うこと。その対価に傷つくこと。見返りを求めているわけじゃない。でも、この世界はあまりにも──自分達に優しくない。
     ふと、前に人が立っていて足を止めた。
     避けようとした瞬間に、雨が止む。
     違う、頭の上に傘を差し出されたのだ。
     顔をあげると 7892