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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    Trick or Treat[トリック or トリート!!
     お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ ]


    何処かで見た事のある定型文に。

    受け取った文章に顔を上げれば、送り主であろうその人の足音が背後から近付く。
    古びた木造の校舎に、やたらと長く延びた廊下。

    「ツナ or マヨー?」

    ふわりと伸びた腕が、唯の身体を包み込むように肩から伸びて胸元で結ばれる。
    眉根を顰めて振り向けば、覗き込まれた吊り目がちなその瞳が唯を捉えていた。

    「来ると思ってましたけど…!」

    言いたい事は勿論理解出来るが、ツナが正解なのかマヨが正解なのかまでは正直よくわからない。
    そもそもマヨはおにぎりの具じゃない…。

    のしかかるように密着する背中の近い距離。
    付き合う前から先輩は距離が近かったが、付き合った今でもやっぱり慣れない距離感だった。ドキドキと鼓動が速くなっていく。

    「ツナー?」

    そんな唯に気付いているのかいないのか、肩口から覗き込まれた紫の瞳が楽しげに目を細めた。



    唯は胸元の手に触れる。

    いつもやられっぱなしの唯。
    でも、今日は余裕のある笑みで狗巻先輩に笑顔を返す。その手を解くと、踵を返してそちらを見た。
    そんな唯に狗巻先輩は目を瞬く。

    「Happy Halloween!」

    一応は宗教系の学校だ。ハロウィンだからと然程騒ぐものでもないけれど。
    ちょっとだけ猫耳カチューシャなんかをして、人数分の小さなお菓子も野薔薇ちゃんと一緒に用意してみた。
    2年生には昼練の前に配ったけれど。

    「はい。これもあげます」

    笑ってそれを狗巻先輩に差し出した。

    簡単なラッピングがされた市販のチョコレートクッキー。出会った同級生は勿論、先輩や先生に配って渡したのでこれが最後のお菓子だった。
    重ね重ね言うが、2年生には昼練の前にも配ったけれど。

    「明太子」

    狗巻先輩はやや考えるようにそのお菓子を見た。
    少し不服そうにも見える。

    「…いらない、ですか?」

    「おかか」

    差し出されたお菓子をやんわりと受け取った。
    それを後ろ手に持っていくと、わざとらしく自分の背に隠す。

    その顔が、悪戯に笑った。


    「ツナ or マヨー?」


    言われた唯はその言葉に大きく目を見開く。

    「…………?!」

    言われた意味が一瞬理解出来なかった。
    …否、今でも理解が追い付かない。

    勝ち誇った顔で腰を屈め、唯に目線を合わせる狗巻先輩。すぐ目の前に、紫のアメジストのような綺麗な瞳があった。
    距離を詰める先輩に、一気に顔に熱が昇る。

    「ズルい…!今あげたじゃないですかっ」

    唯は赤くなる顔を背けた。

    「ツナー?」

    狗巻先輩は、素知らぬ顔で唯に笑い掛ける。

    片腕がそっと伸びて、男性の人差し指が唯の輪郭をなぞる。くすぐったくて。
    その頬に触れて、滑った指先は顎を持ち上げるようにして唯の顔を正面に向けた。

    「…………っ」

    片足が一歩引けば、そのまま肩を押されて壁に背が触れる。
    ネックウォーマーをズラして露わになるのは口元の蛇目の呪印。その唇が弧を描く。


    「ツナマヨ」


    悪戯しちゃうぞ。
    小さく笑って呟くと、ゆっくりとその顔が近付く。唯の小さな胸ははち切れそうなくらいに煩く鳴っていた。


    柔らかな色素の薄い狗巻先輩の髪が唯の顔をくすぐる。
    触れるのは、甘い吐息。
    柔らかな唇が頬に触れて、首筋を這うようにつたい落ちる。

    首元にチリと痛みを感じた。

    唯はぎゅっと瞳を閉じて。







    End***





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