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    SIHAI

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    あまの

    DOODLE「×××の影おくり」伏黒親子

    ママが死んだあとの父子黒親子。何もかもねつ造。恵2さいくらい。
    西陽を受けて出来た影が、誰よりも先に玄関の扉に立った。
     甚爾は扉に近づかない。扉の手前で、立ち尽くしている。その胸にとある期待が膨らんでいる。この向こうに、いるかもしれない。
     近くでカラスが鳴いている。遠くで竿竹屋が宣っている。子があるからよ、の部分をカラスの勝手でしょ、とした替え歌があるだとか、どうして竿竹屋は潰れないのかという明日には忘れてしまう雑学だとか、そんな毒にも薬にもならない下らない平凡な話を、笑ってできる相手が、この向こうに、まだ。
    「おうち!」
     高い声に、甚爾ははっとする。腕の中で眠っていた息子が、恵が、目を覚ましたのだった。
     小さな体は魚のように暴れた。甚爾は舌打ちを一つしてから、仕方なく恵を下ろしてやった。
     一歩、二歩、恵はよたよたと覚束ない足の運びで扉へ近づく。歩を進めるたびに、頼りないひよこの鳴き声がする。この子を見失わないように、と恵の母が選んだ靴だった。
     甚爾の影に、恵が混ざった。
    「だいまー」
     と、もみじのような手のひら二つが扉を叩く。
    「だいまー! だいまー!」
     ちっ。それはさっきよりも大分大きい舌打ちだった。この子が真似しちゃうから、や 1215

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