生贄よ疾く死に候え予定では『そう』だった、でも任務や諸般の事情で『そう』はならなかった。その日屯所に土方はいなかった。斎藤は他の者から花街へ連れて行かれた。飯も食わせてもらえたし女は綺麗で優しくて悪くなかった。他の奴からは羨ましがられた。しかし斎藤はわからないなりに何故かガッカリした、この人たちと俺はこの日から全く違う道を歩くんじゃないかと予感がした。
事実、土方を抱いた新人たちは大量に死んだ隊士たちの中に紛れて一緒に死んでしまった。
あの人には知らず知らず他人の運を吸い取ってしまうような宿命があるように見えた。身体が良すぎて満足しきって極楽が見えたともうどうにもならなくなってしまうのだろうか。
土方と寝た者にしかわからない呪いじみた運命の剥奪。
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