モーニングルーティン目が覚めると、隣ではまだ静かに寝息を立てる彼が居た。
そっと起こさない様にベッドから降りてキッチンへ。
壁掛けの時計の針は、丁度正午を刺していた。
ひとまず冷蔵庫の中身を確認し、何を作ろうかと考えを巡らせた。
そういえば…。と何かを思い出し、棚から食パンを取り出す。
まだ就寝中の彼は必ず朝はパンを食べているので、今日はフレンチトーストを作ることにした。
「…よし、ん、この甘さなら兄さんも気に入ってくれるかな。」
コーヒーの用意をしながら、朝食の用意を淡々と進めていく。
最初は料理なんて全然出来なかったが、今ではどんなメニューも作れるようになってしまった。
出来上がったフレンチトーストをリビングのデーブルへ運び終わったタイミングで彼が起きてきた。
「あっ、おはようございます!兄さんっ!」
「おはよう、ヨンス。」
「朝食できたので、食べましょうっ。兄さんのお口に合うかどうかは心配ですが…。」
「ふふ、ヨンスの作ってくれたものなら何でも美味しいよ。」
「は、はいっ…!嬉しいですっ…。あっ…、兄さんっ…。」
彼に腰を抱き寄せられて見つめられると、動けなくなってしまう。
触れるだけの口づけを受けるだけで身体の奥がジンっと熱くなる。
啄むような口づけを何度か受ければ身体に力が入らなくなり、彼の胸元へしがみついた。
「可愛いね、ヨンス。」
「に、兄さっ…っ。」
「…流石に意地悪が過ぎたかな?さ、せっかくヨンスが朝食を作ってくれたんだ。頂こうか?」
「あっ、は、はいっ…!」
唇が離れてしまったことへ少し名残惜しさを感じたものの、彼と朝食を摂り後片付けを終えた。
今日作ったフレンチトーストを美味しいと言ってくれて嬉しかった。
朝食後は、ソファでスキンケアと歯磨きをしているが、いつも彼にしてもらっている。
「うん、ヨンスは目を閉じていても可愛らしいね…。」
「っ…。兄さん、あのっ、やっぱり自分で…っ。」
「ダメだよ、じっとして…。」
「は、はいっ…。」
「ほら、そんなに固くならないで。」
「あ、ぅ…、未だにやっぱり緊張、します…っ。」
「もうすぐ終わるから…。…よし、できた。うん、もう大丈夫だよ。今日のヨンスも可愛いね。」
「に、兄さんは、今日も本当に、美しいです…っ。」
「ありがとう、ヨンスにそう思ってもらえることが一番嬉しいよ。さ、歯磨きしようか。」
「はいっ…!」
「ヨンス、虫歯とかは大丈夫かな?」
「もちろん、大丈夫です!」
「口を開けて見せてごらん?」
「はいっ、……むぐっ…。」
口を開けると彼が頬を包んで口を広げるようにして触れてきた。
じっと口の奥を見てきてそれすらも恥ずかしさを覚えてしまう。
次第に口を開けている姿勢が辛くなり、口の端から唾液が伝うのが分かる。
「っふ…、ひぃ、ぁ…、ん…。」
「…うん、ちゃんと磨けてるね、偉いよ。ヨンス。」
「ん、ありがとう、ございますっ!」
「良い子だね、ヨンス。さぁ、口を濯ごう。」
いつも彼に見てもらっているが、やはり慣れない。
でも、歯磨きだけではなくいつも何かすると褒めてくれる。
それが、嬉しくて彼のためにもっともっと頑張ろうと思った。
「さて、ヨンス。これから服を買いに行こうと思うんだが付き合ってくれるかな?」
「もちろんですっ、兄さんっ!夕食はどうしますか??」
「せっかくの休みだ。夜は外で食べよう。良い店を知ってるから予約するよ。」
「あっ、ありがとうございますっ…!」
「そうだ、今日の服のコーディネート、任せてもいいかい?」
「もちろんですっ!兄さんにぴったりの服を合わせます!」
「ふふっ、じゃあお願いするよ。」
そう言って頭を撫でてくれて更に嬉しくなった。
今日はどんな服にしようか、と張り切ると共にこれから出かけることに更なる楽しみを覚えたのだった。