花より団子？キラキラと輝く赤身の肉を美味しそうに頬張る
映像を目にした時、腹の音がぐぅと音を立てるのが分かった。


「美味しそう…。」


いつの間にか心の声が漏れていたのであろう後ろからたしかにそうだねと声をかけられた。
すぐに我に返り後ろを振り向くて楽しそうな笑みを浮かべる彼。
少しだけ恥ずかしくなって頬を赤らめた。


「っ、す、すみませんっ！」

「いや、たしかに美味しそうだね。」

「は、はいっ！」

「久しぶりに食べに行こうか。お肉。」

「えっ！！い、良いんですか！？」

「うん、もちろん。お店は私が決めていいかな？」

「はいっ、ありがとうございますっ……！」

「じゃあ、今夜食べに行こうね。」


そう言って頭を撫でてくれて、今夜の夕食が楽しみになってきた。
普段仕事がある時はあまりしっかりと食事を摂ることが無い。
だから彼と外食が出来る事が凄く嬉しかった。
それから夜になるまでずっと頭の中はお肉のことでいっぱいで、たまに目がお肉になってると笑われた。
そして、夜になり彼と共に焼肉店へと向かう。
タクシーから降りた途端目に飛び込んできたのは高層ビル。
見上げると体が後ろに倒れてしまいそうなぐらいの高さだった。


「わぁ……！す、すごいですっ…！！」

「そんなに見上げてたら首か疲れてしまうよ？」

「はっ……！す、すみません！！つい…！」

「ふふっ、可愛いね。さぁ、行こうか。」

「ぁ、はっ、はい！」


腰に手を回されてエスコートを受ける。
そのまま連れて行かれたのは夜景がよく見える落ち着いた雰囲気のお店だった。
窓際の席から見下ろすと様々な彩りを見せる街の様子が目に入った。


「す、すごいですねっ、兄さん！」

「ふふ、そうだね、良い眺めだよ。さて、ひと通り頼もうと思うんだけど大丈夫かな？」

「兄さんが選んだものなら間違いないですから、大丈夫ですっ…！」

「うん、ありがとう。」


彼が注文したものが次々とテーブルに運ばれてくると、更に胸が高鳴った。
目がさっきよりも輝いていると彼から指摘されて頬が熱くなるのが分かる。


「あっ、す、すみませんっ！！」

「ヨンスは花より団子なところがあるから、見ていて面白いね。」

「う……。で、でも、こんなに素敵なところで、兄さんと美味しいものを頂けるのは、その、嬉しいですっ……！！」

「私もだよ。ヨンスがいっぱい食べてるところを見ると気持ちが良いし、嬉しい。」

「うぅ、そう言われると、何だか恥ずかしいです……。」

「そうゆうところも可愛くて好きだよ。さ、食べようか。沢山食べるんだよ？」


そう言って彼は火を通した肉をトングで掴み皿の上へ運んでくれた。
皿の上に乗った肉を食べてみると、とても美味しくて頬が緩んでいくのか分かった。


「美味しい……、美味しいですっ……！！」

「ふふっ、良かった。」


楽しそうに微笑む彼の顔を見て自分も嬉しくなり、再び夜景と共に食事を楽しんだのだった。