貴方を知りたい舞う桜と共に私は″刀剣男士″の姿になった。そして仲間とこの姿で再会し、仲間に手を引かれ 私は本丸へ向かった。
「五月雨江…?」
「…はい。……貴方が頭…でしょうか。」
「うん!!待ってたよ!」
とても嬉しそうな頭。私より先に顕現した雲さんも親しそうにしていて私も思わず「わん!」と返した。周りの刀達も随分と親しげに頭と接していた様子も目に入り、私は審神者である頭に興味を持った。
さっそく次の日から近侍を任された。
「五月雨、くもくんみたいに雨さんって… 呼んでもいいかな」
「はい、構いません。」
くもさんのことはくん…と。初対面だから遠慮しているのだろうか。
「やった!あめさん… あめさん!!へへ」
何故でしょう、こんなにも嬉しそうに名前を呼ばれて心が高鳴る。頭、頭、私は貴方をもっと知りたい。こんなにも私と嬉しそうに接する貴方を、もっと。
頭に付き添い万屋に向かう道中、頭が羨ましそうに散歩中の犬を見る。
「頭、私の頭を撫でてみますか」
はっ、私は何を。思わず「なんでもありません」と伝えようとしたが、食い気味に「いいの!?!?」と。この顔だ、嬉しそうに私を見る目。あの見ず知らずの犬に向けていた目が、私へと変わったことに高まる自分がいることに少し驚いた。
「ふふ、どうぞ。」
「わっ… ふわふわだね。わしゃわしゃしてもいい?なんて…へへ…」
「お好きなだけ触れてください。貴方の、貴方のための犬ですから。わんっ!」
「犬………ふふ、可愛いわんちゃんだ」
わんちゃん…いい響きです。私は頭の可愛いわんちゃんです。もっと触れてその嬉しそうな貴方を、もっと。
心の奥で何かが切れる音がした。