ワンドロ ふたりきりになった瞬間、まだ荷物を持ったままの赤葦の唇を貪り食うように塞いだ。
久しぶりの赤葦の味、匂い、感触。
カサついた唇、その中に秘めた熱く蕩けた粘膜を味わうように舐めとる。
赤葦の服をはだけさせ、もっと触りたいと欲求に忠実に手を這わせる。その手が赤葦の首すじを撫でると、赤葦の吐息がもれる。
自分の中の野生の本能が目の前の獲物を食べ尽くしたいと訴える。舌なめずりする心を読んだ様に赤葦が離れたがるように木兎の胸を押しやった。
「シャワーお借りします」
目線も合わさず立ち上がった赤葦の手をキュッと掴むと、赤葦がびくりと体を震わせた。
「…こっちを見ないでください。恥ずかしいので」
赤葦の言葉に掴む力が緩んだ。
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