芝桜 -白-(1)
一面に広がる白い芝桜。
春の陽の光を受けて、ふわりと輝く花畑。
その中心に佇む白い人。
白髪で白い肌をした老齢の男。
見るもの全てが白一色に包まれて、それはこの世のものではないほどに…
「・・・綺麗だ」
その光景に思わず、言葉が口をついて出てしまった。
呟いた言葉は、目の前に佇む男の耳に届いたようだった。
男の顔がこちらに向けれらる。
しかしその視線は噛み合わない。
白い男は、眼も白かった。
人ならざる者のように感じてしまう。
自分とは違う世界に、彼がいるようだった。
そこで、はたと気づく。
初対面の男に言う台詞ではない。
思わず自分の口を押え、苦笑しながら彼に話しかけた。
「ここは貴方が管理されているのですか?」
すると白い男は小さく笑う。
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