好きだと言わないと出られない部屋赤ん坊にでもなったかのような優しく抱き留められる感覚に、今日の夢は心地よいなぁと、スズランは安堵のため息をついた。
「スズラン殿、お休みの所申し訳ないのですが」
その声に瞼を持ち上げると、そこには苦しそうに身を屈めたソウゲンがスズランを覗き込むように見つめていた。
「ん?……あれ、僕、酔っぱらいすぎてた?」
でないと、この状況の意味が分からなかった。好きだとは思っているが、その想いもろくに伝えていない人の脚の上でぐっすり眠っているなんて。
「小生も、研究の合間に寝てしまったのかと…そう思ったのですが、…この部屋の意味が分からず。なにやら面妖な事象に巻き込まれたとしか思えず…」
部屋?面妖な事象?なんの事だろうと、とりあえず周りを見渡すべくそこから動こうとする。
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