寒い日 今日はいつもより騒がしいガチャガチャという音で目が覚めた。
オクタビオは、ほぼ毎晩どこかで遊び歩いていて、布団に入る時間が合わない。俺がやっと眠れそうな時に帰ってくる。いつもなら気を使ってか、控えめな足音が今日はかなり大きい。何かあったのだろうかと体を起こそうとした所に、勢いよくオクタビオが入り込んできた。
「さみーーーーー!!!!!」
「声が大きい」
「いいだろ別にぃ!お前どうせ起きてんだから」
布団に入ってきたオクタビオはタンクトップに短パンと、言う割には防寒とは程遠い格好だ。確かにそれじゃ寒いだろうと、入り込んだ隙間を埋めるように布団をかけてやる。
「ここ最近急に冷えてきたからな……」
「なー、さっきまで酒飲んでたのにもう体が震えてんの」
ほら、と差し出された指先を握ってみると、しんと冷たい。
「まさか、この格好で出歩いてたのか?」
「いーや、流石に上にもう一枚着てたけど、寝る時は脱ぐだろ?」
「それにしても冷たいな……」
「クリプトはあったけー、なぁ、もうちょっとくっ付いてもいい?」
そんなこと聞かなくてもいいのに、と思いながら両手を広げると、目にも止まらぬ速さでオクタビオが胸の中に顔を埋める。頬も冷たくなっていて、少し可哀想な気持ちになる。
「何か温かいものでも飲んでから寝るか?」
「んー……それか風呂一緒に入りてぇ」
「わかった、入ってる間に暖房付けとこうな」
オクタビオ用に温かい寝巻きを買わないとなと思いながら、ベッドから起き上がる。両手を伸ばして抱っこをせがむオクタビオを抱き上げる。ベッドから下ろした一歩目の足が冷たくて、少し驚いた。
「もっと温まることしてもいーんだぜ?」
「馬鹿、今日は風呂入ってもう寝るぞ」
クスクスと笑うオクタビオに笑い返して、俺達は浴室へと向かった。