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    キラライ

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    キラライ

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    フォーチュンドール本編26

    フォーチュンドール4章4話幸達の魔法特訓も数日が経ち、幸はある程度魔法が使えるようになっていたが、雫はまだ膨大な魔力が使いこなせず、落ち込んでいた。そんな雫を慰めているのは唯であった。唯は全く魔法が使えないので練習に参加できるだけでも凄いと思っていた。

    「元気だしなって、魔法が使えるのも何かの起点かもしれないよ?」
    「うーん…でも…何で私に…」
    「運命ってやつだよ~。」
    「はぁ、唯ちゃんは、特訓の時いないけど一人で寂しくないの?」
    「寂しくないよ。俺にはしずからもらったティンダロスがいるし。」
    「そっか…ティンダロス…気に入ってよかった。」
    「とりあえず、周りの噂とか有意義な情報には聞き耳立ててるよ~。」
    「うん…ありがとう…」

    そのとき、雫にはティンダロスがうなずいたように見えたが、唯の能力で動かしたか、もしくは気のせいだろうと思った。雫は唯と話して少し安心したのか、特訓頑張ってくるねと言い、唯と別れて幸のもとへ向かうのだった。

    一方そのころ、クランが道場に向かっていたのを凛太郎が見かけて、声をかけようとしていた。今は魔力もほとんど使えない状態だし、うまく話せばクランも前のように仲良くしてくれると思ったのだ。しかし、直前まで近くにいたのか、クランに近づこうとする凛太郎に対して雨が殴り掛かったのである。

    「てっめぇ!クランに何するつもりで来た。」
    「ひぃ!い、いやぁ、何もするつもりはないですぅ~。前みたいに仲良くしたくて。」
    「また何か企んでいるだろう!前に会った時の勢いはどうした?まぁいい、クランに近づくな!」
    「ご、ごめんなさい。」
    「気が済まねえよ!さっきのはクランの分、そしてこれが前のあたしの分だー!」

    凛太郎は雨に思いっきり殴られぶっ飛ばされた。雨は気が済んだのか、フッと息を吐いて立ち去った。

    凛太郎はうずくまって泣いていた。マナイーターですべてを失った上に、そのマナイーターすら奪われ、凛太郎には何も残っていなかった。天才と呼ばれていたのに何を間違えてしまったのだろうと落ち込むばかり。そんなのところに一人、凛太郎に近づく影があった。

    「どうしましたか?」

    女の子の声、まるで天使のような一言に凛太郎は顔を上げた。そこには赤いバンダナが特徴の茶髪の子、唯がいた。

    「あ、いえ…気にしないでください…僕は悪い奴だから。」
    「何かあったんですか?」
    「僕は取り返しのつかないことをしてしまって、もう友達も慕ってくれる人も誰もいない…僕にかまっても何もないですよ?」
    「俺も同じ悪い子ですよ?」
    「え?」

    俺という一人称から性別を間違えたかと思ったが、やはりこの子は女の子のようだ。そんなことより自分も悪いこと言うのは?と疑問に思った。

    「君は何かとんでもないことをしたことがあるのかい?」
    「いっぱい人を傷つけた。しかも刃物でね。ひどいでしょ?こんな奴にいきなり話しかけられたら怖くなった?」
    「怖くないよ?でもどうして?君は悪い子に見えないんだ。こんな僕に話しかけてくれるなんて、天使のようで…」
    「俺は大切なものとか、自分の持ってるものを大事にしたいんだ。それをバカにされたからつい…もう昔の話だけど…」
    「僕はもっと君と話したいな。ねぇ、友達になってもいいかな?」
    「もちろん。」

    これがこの二人の出会いだった。

    同じくらいの時間、ここはとある施設。4階建てで屋上のある建物の3階の一室、ガラっと窓を開けるのは、迷彩柄の上着を腰に巻いてタンクトップ姿の相変わらずゴーグルを頭に付けている夏希であった。ふぅっと深呼吸をし、風を浴びていると、少し髪が乱れていたのが気になったのか、ゴーグルを首にかけ、ポニーテールの髪をほどき、結び直そうとしていた。その際にヘアゴムを誤って飛ばしてしまい、外に落としてしまった。

    「あちゃ~、予備のゴムとかもってきてないし、拾ってくるか。」

    夏希が外にテレポートし、ヘアゴムを探すがなかなか見つからない。そこに道場に行くためにたまたま近くを通りかかった澪がいたので、夏希は声をかけた。澪はその声から髪をほどいていても夏希に気付く。

    「澪先輩~ちょっと手伝ってください~。」
    「どうかしたのか?」
    「この辺にヘアゴム落としちゃたんですけど。探すの手伝ってくれません。」
    「ヘアゴム?見つかるかなぁ?」
    「あそこの窓の開いてる部屋から落としたんですけど、鏡で過去とか見れません?」
    「はぁ、どれどれ…」

    澪が鏡で3階の先程まで夏希のいた部屋を映し、過去を見る。大体ヘアゴムが飛んでいった方向に指をさし、その方向に夏希が向かう。夏希がヘアゴムを見つけると、近くに変わった植物を見かける。風の向きとは違う方向に、というより不規則の揺れているそれは、細長い茎の先端に軽く光る玉に様なものがついているようにも見えた。何か変だと思いつつ、ヘアゴムを拾おうとした瞬間、不意に地面が隆起し、そこから大きな魔物がガバっと現れた。

    「うわあああああああ!?」

    夏希はとっさにテレポートし、澪の隣に滑り込む。澪はあまりにも大きい音がしたので、振り向くとそこには太くて長い例えるならムカデのような体にカマキリの前足のような腕のついていて、頭に当たる部分はチョウチンアンコウのようになった3メートル以上あると思われる魔物がいた。

    「なんだよ…あれ…」
    「こっちが知りたいっすよ!」
    「まぁいい、あんな化け物倒すまでだ!」
    「今準備するんで、時間稼ぎ頼みます。」

    澪は拳を握り、気功の黄色いオーラを拳にまとわせ、突撃する。魔物は咆哮し、鎌のような腕を澪に振りかざす。澪はその攻撃をよけ、さらにその腕に引っ掴まり、曲がっている関節部であろう所を思いっきり殴り、まずは一本切断する。その間に夏希はライフルの準備をし、澪が攻撃をして、相手がひるんだところを巨大な胴体を狙って、射撃する。ダメージを受けた魔物は大暴れし、もう一本の腕で澪を攻撃する。澪は攻撃を強引に受け止めつつ、隙を見てもう一本の腕を同じように殴り切断する。澪が少しよろけたところ、今度は魔物の大きな口が澪を狙っていた。澪がしゃがみ込むと、魔物の口が近づいてきた瞬間、夏希の撃った弾が魔物に直撃!ひるんだ隙に、澪が豪快にアッパーを食らわせ、魔物の巨大な体が宙に浮く。その瞬間、屋上のほうが光ったと思うと、そこから光線が流れ、魔物に直撃し、巨大な体が木端微塵になったのだった。

    「翔織さんだ!」
    「誰だ?」
    「屋上から攻撃した人ですよ!最近会ったばかりなんですけど、よく屋上にいるのですぐわかりました。」
    「どういうやつなんだ?」
    「この施設で人工魔法を研究してる科学部の副部長で武器を作ってる人なんですよ。」
    「そうか…っと僕はそろそろ道場に行かないとな。また今度。」

    澪は、夏希と別れ、道場に向うのだった。夏希は魔物にとどめを刺した山磨翔織(やまとぎ  とおる)という人物にお礼を言いに、屋上に向かうのだった。

    道場では夜がクランに澪を紹介しようと、澪を待っていたのだが、夏希とともに魔物と戦ってるとは知らず、遅刻するなんて珍しいと思っていた。

    「その人遅いですね。」
    「遅刻とかするようなやつではないんだが…まぁ、そのうち来るだろうし、修行に励むとするか。」
    「はい!」

    クランは道場にある一本の剣を片手に、夜とは別の部屋で修行を行っていた。夜も1人で修行に励んでいたが、そこにとある集団が近づいていることも彼らはまだ知らなかった。

    つづく
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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