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    オルト

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    タイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。

    #タイカケ

    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒っ……」
     身震いして息を吐くと、寒さを示すように息は真っ白だった。
    「そうだ」
     手にしていたマフラーを巻いて、俺は駅へと駆け出した。

    「え! タイガきゅん!」
     改札を出て来たカズオは、すぐに俺を見つけて駆け寄ってきた。
    「どうしたの?」
    「迎えに来たんだよ」
    「え!」
     カケルは綺麗な目をおっことしそうなくらい見開いた。
    「雨、降りそうだったし」
     俺がカズオに傘を手渡すと、ちょうど雨が降り出した。
    「わ! ナイスタイミングじゃん! ありがとぉ、タイガきゅん!」
    「おう」
    「う~寒!」
    「あ、それと」
     俺は巻いていたマフラーを外し、カズオに巻いてやる。
    「わ、あったかい……それに、タイガきゅんの匂いがする」
     カズオはマフラーに顔を埋めて笑った。めんこいけど、こっぱずかしいことをこんなところで言うなんて……。カズオの顔から視線を外すと、指先が真っ赤になっているカズオの手が目に入った。
    「か、帰るぞ」
     俺はカズオの手を掴んでポケットに突っ込んだ。傘を広げて歩き出すと、カズオが身体を密着させてきた。
    「入れてよ、タイガきゅん!」
    「はぁ? おめぇの分も傘あんだろ」
    「でもでも、手繋いでるんならこの方がいいじゃん」
     まぁ、確かにそうかもしんねぇ。こういうの、なんかいい。次から迎えは、傘一本でいいかもな。
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