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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    タイカケ
    ホントはわかってて、でも恥ずかしいからとぼけてる可能性もあるかも。

    いつものように俺は、カズオに宿題の面倒を見てもらっている。最後の問題も、あと少しで解き終わる。これが終わったら、カズオは自分の部屋に帰っちまう。
    「カズオ、あ、あのさ……」
    「ん? なぁに?」
     部屋に二人きりの、今がチャンスだ。
    「お、俺、おめぇに言わなきゃいけねぇことがあって……」
     俺は問題を解いていた手を止めて、カズオの方を向いた。
    「あ、の……」
    「なに? 早く言いなよ?」
     カズオも、取り組んでいた自分の宿題を解く手を止めた。綺麗な瞳が、俺を捕える。世界を見ているようなコイツの目が、今、俺だけを見ている。それが嬉しくて、同時に胸が苦しくて、俺は言おうと思っていた言葉を飲み込んだ。
    「どしたの? ……ま、まさか、追試に落ちて留年確定とか!?」
    「ち、ちっげーよ!」
     真っ青な顔をするカズオ。流石にそれはない。何とかギリギリ、追試はクリアしたんだ。
    「じゃあ、なに? タイガきゅんがおれっちに隠し事してるとは思えないし……」
    「……隠してたことなら、ある」
    「え、まじ!?」
     カズオは心底驚いたような顔をして俺を見る。そんなに俺は、カズオに隠し事してないように見えるのか? まぁ、それはそれで悪くない。俺がカズオに気を許してるのが伝わっているような気がするし。
    「えぇ~。俺、タイガきゅんのことならなんでも見抜いてると思ってたんだけどなぁ」
    「……」
     そっちかよ! でもまぁ、バレてなかったらいいや。
    「い、言うぞ……!」
    「う、うん?」
    「俺さ、その……カズオのこと、好きだ」
    「え」
     言った! 言ってやったぞ! 恥ずかしくて顔見れねぇけど、きっと、カズオはびっくりした顔してるだろう。驚いて、思考が鈍ってる間に畳みかけてやる! 俺と付き合えって言って、それから……!
    「うん、知ってるよ?」
    「……は!?」
     俺が顔を上げると、カズオは涼しい顔で俺を見ていた。
    「だって、そうじゃなきゃこんなに頼ってくれないでしょ? いやぁ、ホント、タイガきゅんにとっていい先輩になれてるみたいで良かったよ~。まぁ、まだまだカヅキさんには及ばないだろうけどね!」
     そ、そうじゃねぇ! 俺の言いたい好きは、そういう好きじゃねぇ! 全然伝わってねぇ!
    「カズオの馬鹿! やっぱ俺のこと全然わかってねぇじゃん!」
     俺はもう全部嫌になって、ベッドに飛び込んで頭から毛布を被った。カズオは「どうしたにょ~?」なんて声を上げながら、俺を揺さぶる。
     あのまま突っ走らなくて良かった。全然「好き」が伝わってないのにその先まで進んでたら、大変だった。
    「カズオのばか……。頭いいんだから、考えろよ」
    「え、えぇ……。だって、ホントにわかんないよぉ……」
     カズオは普段出さないような弱々しい声を出した。毛布の隙間から顔を出してみると、カズオは情けない、でも、めんこい顔してこっちを見てた。あぁ、くそ、好きだ……。
    「し、仕方ねぇから……わからせてやるよ、そのうちな」
    「えぇ~。今教えてよ~」
     今もう一度好きって言ったって、絶対ちゃんと伝わらない。時間をかけて、ゆっくり、どういう好きかしっかりわからせてやる。覚悟しておけ、馬鹿カズオ。
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    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563