Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    オルト

    どうしようもないものを投下

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 178

    オルト

    ☆quiet follow

    154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート

    #タイカケ

    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺もしょっぱいもの何か買えば良かったかな。でもそれだと食べ過ぎ?
    「なぁ、一口交換しねぇ?」
    「いいの?!」
     思ってたこと顔に出ちゃったかな? タイガと買ったものを交換して一口。うん、美味しい!
     ふと隣を見ると、恋人たちが俺たちと同じように互いの食べ物を交換して食べていた。彼らと同じことをしているんだと思うと、何でもない事なのに急に照れくさくなってきた。タイガも同じように彼らを見ていたみたいで、少し照れた顔をした。
    「ねぇ、タイガきゅん。こうしてると、おれっちたちもデートしてるみたいだね! なんちゃって!」
    「俺はそのつもりだけど」
    「え……?」
     この空気を変えるべく茶化すつもりで言ったのに、予想外の言葉が返ってきた。スマートなおれっちの頭脳も、これにはショート寸前。
    「それって……」
    「す……好き同士がすんだろ? デートって」
    「そ、そう、なるかな……?」
     いったい何を言ってるの、タイガきゅん?
    「だったら、これもデートだろ。おめぇ、俺のこと好きだし」
    「え!」
     確かに好きだ。タイガきゅんは可愛くてカッコよくて、大好きだ。でも、まって、それでどうして俺とタイガきゅんで出かけるとデートに? というか、好き同士って……。
    「……悪い。違った、か?」
     タイガきゅんは、凄く悲しそうな目で俺を見る。あぁ、そんな顔しないで!
    「大好きだよ、タイガきゅんのこと……!」
    「そか。良かった。俺の勘違いじゃなかったんだ」
     今度は一転、凄く嬉しそうな顔。
    「え、ていうか、好き同士、って……」
    「俺も、おめぇが好きだから、デートだろ」
    「タイガきゅんが、え、僕を……好き?」
     状況が理解できない。
    「ど、どういうこと?」
    「いや、だから、その……うぅ」
     さっきまで好きだのデートだの言っていたタイガきゅんは、急に照れだした。タイガきゅんらしくて、可愛いかも。
    「ねぇ、タイガきゅん。寮に帰ったらさ、ちゃんとお話ししようか。僕たちの気持ちのこと」
    「……ん」
     タイガは小さく頷いた。
    「次、どこ行く?」
    「そうだにゃぁ……」
     デートが続いて欲しいと思う反面、早く寮に帰りたい不思議な気持ちになりながら、次に行きたい場所を考えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064