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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    リュカケ前提のタイカケ(タの片想いに近い)と言い張る

    「タイガきゅんて、眼鏡もスーツも似合わないね」
     セプテントリオンの面々はスーツに身を包み、髪を整え、眼鏡をかけて撮影に臨んでいた。来月発売の新社会人を応援する企画コーナーで、新社会人に扮した彼らのグラビアと、それに沿ったショートストーリーが掲載されることになっている。
     カケルは慣れた格好であるが、他の面々はめったに着る機会のないスーツに、着られているような状態だった。中でもタイガはそれが顕著だった。
    「なんかすげぇ動きにくいし、首の所苦しい。おめぇ、よくいつもこんなの着てられるな」
    「まぁ、おれっちにとっては慣れた格好だからね。タイガきゅんにとってのジャージとそう変わらないよ」
    「そうかぁ?」
     タイガは頭を掻きながら答えた。さらさらに梳かされたが指の間をすり抜けるのを、カケルはじっと見つめた。殆どのメンバーが前髪を上げて額を出しているが、タイガだけは前髪を下ろしたままだった。カケルはそれに安堵していた。
    (よかった。前髪まで上げてたら、あの人そっくりだった……)
    「髪、俺も上げてもらおうかな」
    「え?」
     タイガの言葉に、カケルの心臓が跳ねた。自分の心を見透かされたような気がして、カケルはタイガから離れようと、視線をそらして一歩踏み出した。
    「俺も、髪きっちりしたら、スーツ、似合って見えるか?」
    「ど、どうだろうねぇ……」
    「おめぇは、どう思う?」
    「どう、って…………っ」
     カケルが振り返ると、タイガは指先で前髪を流して額を出していた。
    「……っ」
     カケルの頬が、ぱっと赤く染まった。そんなカケルの反応を見て、タイガは目を輝かせた。
    「おれ、スタッフに頼んで、前髪あげて貰ってくる!」
    「え、ちょっと! 待って!」
     タイガは呼び止めるカケルを無視して、メイクスタッフの元へ走り出した。
    「タイガ……ごめん」
     カケルは脳裏に浮かんだ男の姿を消そうと、必死に別のことを考えようとしたけれど、一度脳内に侵入してきた「彼」は、てこでも動かなかった。
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