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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    自覚あり両片想いのタイカケ

    「ねぇね、タイガ」
    「ん?」
     タイガの部屋。ベッドに腰かけているタイガのすぐ横に、カケルは腰かけた。肩から膝までをぴたりとつけて、タイガの手元にある雑誌を覗き込む。カケルが貸した、オバレ特集の雑誌。ちょうどカヅキのページだった。
     タイガの視線は雑誌に釘付けで、本当に雑誌に穴が開くのではないかとカケルは思った。インタビュー記事を真剣に読んでいるタイガの表情は、インタビュアーの質問やカヅキの受け答えによってコロコロ変わった。タイガの想い描く「カヅキらしい答え」であれば目を輝かせたし、「チャラチャラしている」受け答えには、眉をひそめていた。
    (ほんと、こういう時は真剣なんだよなぁ)
     これが勉強中であれば、ぴたりとくっついたカケルを押しのけて「べたべたすんじゃねぇ!」と声を荒げていただろうと、カケルは容易に想像できた。カヅキに集中しているからこそ、自分が距離をゼロに出来ることが僅かに悔しく感じているものの、恩恵は享受すべきと考えて甘んじて受けていた。だからカケルは、この時間が好きだった。

     ページの最後まで読み終えたタイガは、そっと雑誌を閉じた。少しだけページが浮いている。
    「?」
     不思議に思い、浮いてる部分に指を入れてページを開くと、そこはヒロのインタビューページだった。カケルが何度も読み返していた為、癖がついていた。タイガも、自分の雑誌がよくカヅキのページに癖がついていたので、どういうことか瞬時に理解した。
    「あ」
     カケル自身もそれに気付き、少し恥ずかしそうな表情をして少しタイガから離れた。
    「坊ちゃん、すげーヒロさんのページ見てんじゃん」
    「い、良いでしょ、別に……」
    「おめぇ、ヒロさんのことすきだもんなぁ」
     今度はタイガの方からカケルにぴたりと身体を付けた。
    「そ、れは、そうだけど、なんていうか」
     カケルがヒロのファン、所謂「黄薔薇」であることを隠そうとしていることを、タイガも知っているが、隠すようなことではないのに、と不思議がっている。でも、隠しているならそれはそれでいいと思った。
    「な、この間のオバレのライブDVD、一緒に見ねぇ?」
    「あ、いいね! 見る見る!」
     タイガの提案に、カケルは笑顔で答えた。二人でDVD鑑賞をする時は、いつもカケルの部屋でだった。二人はいそいそとカケルの部屋に移動し、今度はカケルのベッドに並んで座る。
    「そう言えばこの時のライブ、ヒロさんがさぁ~」
     カケルがDVDを見ながら嬉しそうにヒロについて語る。そんな姿を一番近くで見ているのは自分なのだと思うと、例え視線の先が自分でなくても、タイガは僅かに優越感を感じて、この時間が好きだった。
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    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563