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    オルト

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    オルト

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    22世紀蕎麦屋のタイカケ(小2×中2)
    中学潜入大作戦(後編)

    俺は、カケルを守る為に飛び出したのに、みんな優しい顔をしている。
    「キミ、面白いなぁ」
     一人男が俺たちの方に近付いてきた。カケルに触れるつもりか?!
     俺は身構えてソイツを睨んだ。相手の手が伸びる。やばい! そう思った瞬間、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
    「コイツ、カケルの弟か?」
    「い、いえ! まぁなんというか、近所の……幼馴染って感じな子です!」
    「幼馴染っておめぇ……!」
     ただ幼馴染みたいに思ってたのか?! 俺たちは将来結婚するのに!!
    「タイガくん、もしかして、この間見たヤンキードラマ見て僕のこと心配してくれてるのかな?」
    「う……ん」
    「大丈夫。ここに呼ばれたのは、カツアゲとか喧嘩じゃなくて、委員会の仕事だよ」
    「……へ?」

     その後、美化委員だというカケルの仕事に付き合って、花壇の雑草を抜いたり、華の苗を植えたりした。委員会のひとたちに謝って、先生に見つからないようにランドセルを回収して学校を出た。学校に来ることしか考えてなかったので、駅で買えりの交通費がないことに気付いた。カケルが出してくれた。情けない。カッコ悪い。これじゃ、カケルに好きになってもらえない。
    「タイガくん」
    「…………」
     電車の中でカケルに声を掛けられても、なんと答えていいのかわからなくて、ただ黙り込んでしまった。四谷駅について、俺の家の方に向かって二人で歩く。カケルは、「今日はかけそばに海老天つけようかなぁ」なんて言ってる。もうすぐ俺の家。大通りを曲がって、少し狭くなった道に入ったところで、カケルが俺の手を掴んだ。
    「えっ」
     驚いて顔を上げると、カケルは優しい顔で俺を見ていた。可愛い。俺、やっぱり強くなってカケルを守りたいし、カッコいいって思われたい。
    「タイガくん。さっきはありがとう」
    「ありがとう、って……え?」
    「僕のこと助けようとしてくれたでしょ?」
    「それは、そうだけど……俺の勘違いだし。ていうか、迷惑かけたし……」
     さっきのことを思い出すと、胸の辺りがずんと重くなる。
    「でも、僕を守ろうとして、タイガくんよりずっと大きな男の人の前に立ちはだかったの、カッコよかったよ」
     はにかむカケル。嘘ついてる顔じゃない。本心だ。嬉しい!
    「ま、まぁな。俺はカケルの旦那さんになる男だぞ! このくらい、なんてことねぇし!」
    「ふふっ。頼もしいなぁ」
     カケルと繋いだ手に力が入る。きっとカケルにとっては、こんな力へでもないんだろうけど、ハッとして力を弱めた。そしたら今度は、カケルが俺の手を強く握ってくれた。
    「タイガくんが成長するの、楽しみだなぁ。きっと、凄く強くてカッコよくなるね」
    「おう!」
     そう。強くてかっこいい男になって、カケルのことをずっとずっと守るんだ。よし。今日から筋トレして鍛えて、牛乳もいっぱいのんで、好き嫌いしないでたくさん食べるぞ!
     電車賃ないなんて恥ずかしいことにならないよう、店の手伝いも忘れずに、な。
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