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    オルト

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    オルト

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    読みにくいからこちらにも。
    タイカケ

    東京は桜の花が咲き始めるのが速いから、月の感覚がおかしくなりそうになる。もう何度か東京で春を迎えているけれど、生まれた頃から育った土地での感覚はどうにも抜けない。
    「もうすぐ咲きそうだね~」
    「そうだな」
     ゆっくり歩きながら桜の木を見上げると、蕾がふっくらと膨らんでいるのが見えた。木によっては、幾つか花が咲いているものもある。
    「ねぇね、桜の木の下には死体が埋まってる、って知ってる?」
    「は? んなわけねーだろ……」
     背筋がゾクリとした。こんな綺麗なものの下に、死体? なんで?
    「あ、いやいや、そう言う小説があるのよ」
    「へー。小説なんて知らねぇよ。読まないし」
    「だよね~! そう思った! ふふっ、そうだよねぇ!」
    「なんで聞いたんだよ?」
     よくわからないけど、カケルはくすくすと楽しそうに笑っている。
    「いやぁ、桜ってホント綺麗だよね。満開になるのが楽しみ! 満開になったらさ、みんなでお花見しようね! ミナトッチのお弁当持って、ユキちゃんにお茶たててもらってさぁ。そうだ! タイガきゅん余興してよ!」
    「おめぇが何かしろよ。ていうか、出来そうなの? おめぇ、会社の方のとかで忙しいんじゃねぇの?」
     いつだか、会社のお花見は疲れるだけと言っていたのを思い出した。行かなきゃいいだろって言ったら、オトナの付き合いだから行かざるを得ないって言われた。カズオは真面目だから、もし会社の花見があったら俺たちとは……。
    「今年は絶対、予定を調整するよ!」
    「なら、帰ったらみんなと相談するか」
    「うん!」
     カズオが満開の桜の木の下に立っているところを想像する。 世界中の綺麗を集めたみたいなカズオが、満開で美しい桜の木の下に立つ。きっとそれは、完璧な風景だろう。そして俺は、それを目に焼き付けて時々思い出す。カズオが俺の腕の中で、ぐちゃぐちゃになっている時に。
     あのカズオが、こんなになってる!
     きっとその時俺は、カズオをしっかり抱きしめて、嬉しくて穏やかな気持ちになるんだと思う。
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    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ。初夜まで道のり通そう。タイガきゅんとお付き合いを始めて早三か月。そろそろ、キス以上のことがあってもいいんじゃないかと思っているんだけど、全然そんな気配はない。俺が一生懸命それらしい雰囲気を作っても、タイガきゅんには全然効いていない。ベッドに座って寄りかかったら、「眠いのか?」なんて聞かれるし、じっと上目遣いで見つめたら「何ガン飛ばしてんだよ。怖くねーけど」とか言われるし、二人きりの部屋で服を脱ごうをしても「暑いのか?」だって! 意気地がないのか、純情すぎるのか……。そりゃ、俺だってキスだけでもすっごくドキドキしちゃうけど……!
     いったいどうしたらタイガきゅんはその気になってくれるだろう? いっそ、正直に先に進みたいと言うべきか? いや、そもそもタイガきゅんはこの先を知ってるの? 俺だって最近調べて知ったのに?
    「うーん……どうしたもんかにゃ~」
     ネットの海で自分と同じ状況の人を探しても、ぴたりと一致する人はいない。それでも、恋人に仕掛ける方法はいくつか見つけられた。
    「何事もものは試しだよね」
     俺は「準備」をすべく、引き出しに仕舞っていたいたローションとゴムを手にトイレへと向かった。

    「ねぇね、タイ 1207