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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    22世紀蕎麦屋のタイカケ

    「なぁなぁなぁ、俺たちもしようぜ~」
    「だぁめ!」
    「なんでだよぉぉ!」
     タイガくんは、寝転がって手足をじたばたさせる。こうなったらなかなか終わらない。
     僕らはタイガくんの家で、アニメを見ていた。子供向けのアニメだったけれど、結婚式のシーンがあり、そこで描かれた誓いのキス。タイガくんはソレを見てから、同じことがしたいと騒ぎ出した。最初は結婚式ごっこだと思ったから、軽い気持ちで「いいよ~」と返事をした。並んで廊下を歩き、誓いの言葉を真似て満足するかと思ったら、キスされそうになった。慌ててタイガくんから離れたら、タイガくんは泣き出してしまった。
    「タイガくん、泣かないでよ~」
    「だって! キスしなきゃ結婚式じゃねぇ!」
    「じゅ、十分結婚式ごっこ出来たでしょ?」
    「ごっこじゃない!」
     タイガきゅんはひと際大きな声を出し、キッと僕を睨んだ。
    「俺は、本気なのに」
    「う……」
     そうか、そうだよなぁ。タイガくんは、いつも「将来カケルと結婚する!」って言ってくれてるから、きっと今のもごっこ遊びじゃなくて、本気だったんだよなぁ。
    「なんで、キスさせてくんねーんだよ」
    「だって、ほら、それは……いつか本当に好きになった人との為に……」
    「俺は! 今! 本気でカケルが好きなのに!」
     ぽかぽかと僕を叩きながら、タイガくんはまた鳴き声を上げる。あぁ、余計なことを言ってしまった。
    「だったらさ、僕との結婚式本番まではとっておこ?」
    「本番……」
    「そう! い、今のは練習だからさ、タイガくんも大人になった時、本番でしよう! ね?」
    「……わかった」
     不服そうな表情ではあるが、一応タイガくんは頷いてくれた。これで一安心だ。
    「約束忘れるなよ、カケル」
     僕は差し出されたタイガきゅんの小指に自分の小指を絡め、しっかりと指切りをした。

     数年後、僕らは本当に交際を始めたがタイガくんに「結婚式本番までキスはお預けなんだろ?」と意地悪をされることになるのを、この時の僕はこれっぽっちも予想していなかった。
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