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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    付き合ってるタイカケ
    タとモブ教師しか出てこないけどタイカケです

    つまらない授業。けど眠気もなく、俺は教師の話を右から左に聞き流し、ぼんやり教科書を眺めていた。なんだか長々話しているけど、時々人物名が聞こえるだけで、内容は全く頭に入って来ない。授業は全く聞いてないけど、教科書を開いて席に着き起きているのだから褒めて欲しいくらいだ。
     ノートを取る気にもならないが、何となくぺらぺらと捲ってみる。すると、俺の字に混じってチャラチャラした文字があるのが見えた。カズオの字だ。
     数字や式が並び、ところどころに解き方のコツが、赤い字で書かれている。この間、勉強を見てもらった時のものだ。
    『タイガきゅん、頑張れ♡』
    「ふっ」
     チャラチャラした文字で書かれたその一言を見て、俺は噴き出した。カズオの声が聞こえてくるような感覚。傍にいるみたいで、思わず口元がゆるむ。
    「おーい、香賀美」
     その時聞こえてきた、俺を呼ぶ教師の声。顔を上げると、さっきまで教壇にいた教師は、いつの間にか俺の目の前にいた。
    「珍しく起きて教科書開いてるのは良いけど、ソレ、数学のノートだぞ。今は世界史だ」
    「あー……」
     そう言えばそうだ。なんか変だと思った。
    「んー、なんだなんだ? 赤ペン入れてくれる先生がいるのか?」
     教師は笑いながら俺のノートを覗く。カズオが俺の為に書いてくれたものを他の奴に見せるのが何だかいやで、俺はすぐに数学のノートを閉じて素早く机の中に突っ込んだ。教師はそんな俺の様子を見て肩を竦めると、室内履きをペタペタ鳴らして教団の方へ戻っていった。俺は仕方なく鞄を漁り、予想外にちゃんと入っていた世界史のノートを開いた。またペラペラ捲り空白のページまで進めようとしたその時、
    「……っ!」
     俺は思わず漏れそうになった声を、口を固く結んでなんとか耐えた。
     開いたノート、俺が最後に記入したページにはまたチャラチャラした文字が躍っていた。
    『ノートを開いたタイガきゅんは偉い♡ ちゃんとノートを取ったら、今日はい~っぱいイイコトしてあげる♡』
     誰が書いたかは一目瞭然。俺は筆箱からシャーペンを引っ張り出して、慌てて黒板を書き写し始めた。その動きに、黒板を消そうと黒板けしを持った教師がピタリと固まり、それからまたクスクスと笑った。
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    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563