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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    成人同棲タイカケ

    「わぁ」
     部屋の片づけをしていたけれど、つい、脱線してしまった。ウォークインクローゼットの奥に仕舞われていた「思い出の品」の箱を開けてしまったのだ。
     中にはタイガと初めて行った映画の半券とか、水族館の入場券とか、お祭りのくじで当てたよくわからないおもちゃとか、いろんなものがぎゅっと詰められていた。
    「なつかしいにゃぁ」
     一つ一つ見ていく。そして、箱の一番底にあったのは
    「あ」
     一通の手紙。決して綺麗な文字で書かれたとは言えないそれは、貰った手紙の中で一番うれしい手紙。そっと封筒から便せんを出して広げる。時間は立っているものの、少しも褪せていないその文字に、だらしなくニヤけてしまう。
    ―カズオへ。
     ちゃんと口で伝えたいけど、伝えられるかわからないから、先に手紙にしておく。
     俺はカズオが好きだ。付き合って欲しい。
     で、これをちゃんと口で伝えたいから、今日の17時に高架下で待つ。
     ちゃんと来いよ。
    「ぷふっ」
     果たし状みたいなラブレターは、タイガらしくて可愛いとさえ思える。この手紙から、俺たちは始まったんだ。
    「げ、何見てんだよ」
    「あ、タイガ」
     いつの間にか俺の背後に立っていたタイガが、嫌そうな顔をして手紙を睨みつける。
    「おかえり」
    「ただいま。つーかまだそんなのとってあったのかよ」
    「だって大事なお手紙だもん」
     俺が手紙を抱きしめると、タイガは少し顔を赤くして、まんざらでもなさそうな顔をした。一生大事なこの手紙、これからもこうして時々読み返したいな。
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    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064

    オルト

    TRAINING154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート
    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺も 1422