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TRAINING

タとシンちゅわとモブしか出てこないけど、タイカケです。

#タイカケ

華京祭が終わってすぐのこと。クラスはミス華京院の話題で持ち切りだった。みんな誰が可愛かったとか、来年は自分も出てみようか、なんて話している。
「なぁ、お前も意外と可愛かったぞ！」
「…………」
　クラスメイトに声を掛けられたタイガくんは、両耳を塞いで机に突っ伏している。僕もクラスメイトに褒めてもらえたり色々聞かれてちょっと照れ臭かったけど……。
「いや～優勝した西園寺、可愛かったな。俺、ファンクラブはいろうかなぁ？」
「俺は太刀花先輩だなぁ～。美人のお姉さま、って感じですげぇイイ」
　みんなそれぞれに感想を述べている。みんなで頑張ったから、こうして褒めてもらえるのは嬉しいな……。
「俺はやっぱり十王院先輩だなぁ～。あの衣装も髪形もクオリティ高かったし！」
　カケルさんの名前が出たその時、タイガくんの肩が揺れた。タイガくんはゆっくり身体を起こしてカケルさんを褒めたクラスメイトを睨んだ。睨まれた本人はそのことに気付いていないみたいだけど。
「あれってアニメかなんかのコスプレだろ？　おめぇそういう趣味なの？」
「いいだろ、別に。ていうかソレ関係なくイイと思ったんだよ。校内でたまに見るけど、めっちゃ綺麗な顔してんじゃん～。俺、十王院先輩なら……」
「おい」
　盛り上がっていた会話の輪に、タイガくんが踏み込んだ。みんな驚いてタイガくんの方を見た。
「カズ……カケルなら、なんだよ？」
「え、いや……」
　カケルさんを褒めていた彼は、驚いた顔をして固まった。ここからじゃタイガくんの顔は良く見えないけど、声の感じからすると怒ってるみたい。
「なんだって、聞いてんだけど？」
「い、いやぁ、その……」
「……言っとくけど、アイツは俺のだから」
「…………」
「えっ、えぇぇぇぇぇ？！」
　大きな声が教室に響く。僕の、大きな声が。
　タイガくんは僕の方をちらりと見ると、溜息を吐いて教室を出て行ってしまった。残された彼らは、顔を見合わせて「もしかして香賀美って、十王院先輩と……？」「まさか」「でも一緒に居るの見たことある」と口々に言った。僕も、タイガくんとカケルさんの仲が良いのは知ってるけど……。
「た、タイガくん待って！　どういうこと？！」
　僕、知らなかったんだけど、さっきのあの言葉って、そう言う事だよね？！
　僕は走ってタイガくんを追いかけた。どうしても、確かめずにはいられなくなったんだ。

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