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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    737文字
    成人済み同棲タイカケ
    普段はタが甘えるしカケは甘やかしたい派だけど、逆転する日もある筈。

    「ねぇね、タイガきゅん、あのねあのね」
    「おー」
     帰ってきたカズオが着替えもせず、俺にベタベタと引っ付いて止まることなくしゃべり続けてもう三十分は経ったと思う。いつもはすぐに着替えるかすぐ風呂に入るカズオがこうしているのは珍しい。
    「ふふ、タイガきゅんはかわいいね。それにカッコいい。大好き」
     脈絡なく俺を褒めて、そして好きだと囁く。スーツがしわになるのを気にせず、ぎゅうと俺にしがみつく。
    「カズオ、そろそろメシの支度すんぞ」
     そう言ってポンポン背中を叩いても、カズオは俺にしがみついたまま「あー」とか「うーん」と言うだけで離れようとしない。珍しいこともあるもんだ。でも、なんか変だ。カズオが、こんな風にするの。
    「カズオ」
    「カー、ケー、ル」
     最近すっかり慣れてしまったのか、あまり訂正することが無かったので久しぶりに聞いた。
    「カケル、だよ」
     ぽつり、と漏らした声はいつものチャラチャラした「カケル」の声ではない。
    「……カケル」
    「ふふっ、タイガぁ」
     途端にカズオは嬉しそうな声を上げて、俺の身体に埋めていた顔を上げた。俺はそっと触れて、目元を擦るように顔を撫であげる。くすぐったい、と笑うカズオの顔は「カケル」になっていた。
    「ほら、早く着替えてついでに顔洗ってこい」
    「ん、そうする。ありがと」
     カズオはすぐに着替えに寝室へと向かった。
     長年一緒にいてわかった、カズオの甘えたい合図。今夜はたっぷり甘やかして優しくしてやろう。きっと最初は素直に甘えないだろうけど、時間をかけてゆっくりカズオをリラックスさせて……。そんなことを考えながら冷蔵庫を漁っていたら、卵を落としそうになった。あぶねー。こんなとこで失敗するわけにはいかねぇんだよ。今から俺は、思わず甘えたくなるカッコいいカレシになるんだから。
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