Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    オルト

    どうしようもないものを投下

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 178

    オルト

    ☆quiet follow

    626文字
    ちゃいなのタイカケ
    例によってガチキョンシー

    「お、おー」
    「ん? どうした、カケル」
     川の中を覗き込んで声を上げているカケルに声を掛けるが、カケルは川に夢中でこちらを向こうともしない。手を伸ばそうとしているから、俺は当てて止めに入ろうとした。が、全然間に合わず、カケルの服の袖はぼちゃんと川に入った。
     川の中に何かあるのか?
     カズオは手を突っ込んで、ゆらゆらと動かしている。すぐ近くまで来て俺も池を覗いてみる。
    「あぁ……」
     メダカだ。カケルは一生懸命に手を動かしてメダカに触れようとしている。でも、このまま触ったりしたらダメだ。
    「カケル、だめ」
    「う?」
    「メダカ、掴んだら死んじまう。捕まえたいんなら、そっとやらなきゃ」
    「おー……?」
     わかってるのかわかってないのか、カケルはぽかんとした顔で頷いた。
    「ま……だ、か?」
    「め、だ、か」
    「め……ぇ、も、も、かえ、う」
    「メダカ、持って帰りたいのか?」
    「あー!」
     言いたいことが伝わったのが嬉しいのか、カケルは笑顔で頷いた。まぁ、鉢に入れて買うのはこれからの季節涼し気でいいけど、どうすっかなぁ。捕まえるものも、持って帰る器も何もない。
    「カケル、いったん帰って、捕まえるための道具もってこよう」
    「ん!」
     俺が手を伸ばしながら言うと、カケルは勢いよく川から手を上げた。水しぶきがキラキラしながらカケルに降り注ぐ。カケルは、ホントにキョンシーなのかと思うほど綺麗だ。
     カケルはぴょん、と飛びあがると、びしょびしょになった袖をそのままで俺に抱き着いた。
     少し冷たいけど、まぁ、いいか。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕💕💕☺☺❤❤❤❤👏💖💖👏👏👏☺☺☺☺💕💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator