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    オルト

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    671日目
    22世紀蕎麦屋のタイカケ

    「うぅ、わかんねぇ~……」
    「頑張って思い出して! 昨日は出来たでしょ?」
     算数のプリントを前に、タイガは頭を抱えていた。どれか覚えるとどれかを忘れてしまう九九に、タイガは苦戦していた。
    「カケルは、どうやって覚えた?」
    「うーん、ずいぶん前のことだから……どうだったかなぁ?」
     カケルは目を閉じて数年前の事を思い出す。そんなに苦労せずに覚えた為、あまりどうやって勉強をしたのか覚えていない。懸命に記憶を辿る。うすぼんやり見えてきた光景を、逃すまいと掴んで引き寄せた。
    「あ、そういえば、お風呂に掛け算の表が貼ってあったな」
    「お風呂に?」
    「うん。それで、それを声に出して読んだなぁ。リズムをつけて、歌っぽく? すると、覚えやすいと思うよ!」
    「どんなふうに?」
     タイガはカケルとの間にある机に身を乗り出して、真剣な顔で尋ねた。カケルはタイガが勉強に熱心になったと思い嬉しくなった。
    「えっと、例えば、2の段だったら……」
    「待った!」
     カケルが2の段を唱え始めようとした途端、タイガは大きな声を上げてカケルを止めた。カケルが驚いて固まっていると、タイガは鉛筆を置いて立ちあがった。
    「え、タイガくん? どうしたの?」
    「風呂!」
    「え?」
    「風呂で覚えたんだろ! 一緒に風呂入って教えて!」
    「え、今?!」
     わざわざお風呂でしなくても、と思ったものの、せっかく覚える気になっているタイガのやる気を折りたくはない。仕方ない。お風呂で教えてあげよう。
    「カズオと風呂入りたい!」
    「ねぇ、目的忘れてないよね?!」
    「あー、うん!」
     カケルの問いかけにタイガは適当な返事をしながら、服を脱ぎ捨てた。
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