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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    632文字
    黒薔薇のタイカケ
    何も言わなくてもいい関係も良い。

     弁当食って、午後の授業に出る(机で昼寝する)かフケようか迷っていた時、一本の電話。
    「あ?」
     カケルからだ。今日はまだ学校に来ていない。一応真面目に登校してくるアイツがいないのは珍しいが、午後から行くと連絡が来ていたので気にしていなかった。
    「どーした?」
    『あー、タイガぁ……』
    「?」
     なんだか声が弱々しい。
    「どうした? もーすぐ学校くんのか? おめぇが来るなら俺、教室に……」
    『……来て』
    「え?」
    『迎えに来て、くれないかにゃあ?!』
     カケルの声は急に明るくなった。なんだか様子が変だ。
    「どうかしたのか?」
    『ちょーっち色々あってさぁ、自分でガッコまで行くの、ちょっとキツくって』
    「どういうことだよ?」
     怪我? それとも、具合が悪いのか?
     俺は荷物も持たず、カケルとの通話を続けながら階段を下りる。廊下を走っていると教師に呼ばれたが、どうでもいいから無視をした。
    「今、どこに居んだ?」
    『いつものコンビニの裏』
    「わかった、すぐ行く」
     通話を終えて学校を抜け出すと、近くに隠すように止めていたバイクに跨った。よく二人でニケツするからカケルの分のメットも載せてある。カケルもバイクを持っているけど、なぜか俺の後ろに乗りたがる。でも、今日みたいに迎えを要求するのは初めてだ。
    「よし」
     エンジンをかけ、カケルの待つ場所へと向かう。理由はわからないけど、カケルが俺を求めてることには変わりない(ちょっと違うかもしれないが)。俺は、何も聞かずにカケルを後ろに乗せて学校に戻るだけだ。俺たちは、それでいい。
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    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064