弁当食って、午後の授業に出る(机で昼寝する)かフケようか迷っていた時、一本の電話。
「あ?」
カケルからだ。今日はまだ学校に来ていない。一応真面目に登校してくるアイツがいないのは珍しいが、午後から行くと連絡が来ていたので気にしていなかった。
「どーした?」
『あー、タイガぁ……』
「?」
なんだか声が弱々しい。
「どうした? もーすぐ学校くんのか? おめぇが来るなら俺、教室に……」
『……来て』
「え?」
『迎えに来て、くれないかにゃあ?!』
カケルの声は急に明るくなった。なんだか様子が変だ。
「どうかしたのか?」
『ちょーっち色々あってさぁ、自分でガッコまで行くの、ちょっとキツくって』
「どういうことだよ?」
怪我? それとも、具合が悪いのか?
俺は荷物も持たず、カケルとの通話を続けながら階段を下りる。廊下を走っていると教師に呼ばれたが、どうでもいいから無視をした。
「今、どこに居んだ?」
『いつものコンビニの裏』
「わかった、すぐ行く」
通話を終えて学校を抜け出すと、近くに隠すように止めていたバイクに跨った。よく二人でニケツするからカケルの分のメットも載せてある。カケルもバイクを持っているけど、なぜか俺の後ろに乗りたがる。でも、今日みたいに迎えを要求するのは初めてだ。
「よし」
エンジンをかけ、カケルの待つ場所へと向かう。理由はわからないけど、カケルが俺を求めてることには変わりない(ちょっと違うかもしれないが)。俺は、何も聞かずにカケルを後ろに乗せて学校に戻るだけだ。俺たちは、それでいい。