Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    オルト

    どうしようもないものを投下

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 178

    オルト

    ☆quiet follow

    927文字
    パンそばのタイカケ
    付き合ってません!

    「わ、懐かしい~!」
     部屋の掃除をしていると、カケルが楽しそうに声を上げた。
    「ねぇ見て!」
     カケルが手にしていたのは、懐かしい写真。あの頃はまだフィルムのカメラも多かったっけ。写真の中の俺とカケルは今よりずっと若い。というか、幼ささえ感じる。
    「高校……一年生の時だよね?」
    「そうだな」
     カケルに身を寄せるようにして、その写真を覗き込む。文化祭の時の写真だ。この時はまだ、具体的に芸人になろうなんて考えてなかった。でも、人を楽しませたり笑わせるのは、好きだった。だから、後夜祭の時にカケルとふざけてテラテラの衣装にでっかい蝶ネクタイを付けて、カケルにはおまけでアフロのヅラを被せた。みんな俺たちのコテコテの姿に笑ってくれた。
    「まさか、十年後にホントにこんな格好してるとは思わなかったよ」
    「そうだな」
     顔を上げ、棚に飾られている「焼きそばパン」の写真を眺める。いつかのステージの後に、何となくノリで撮ったけど、カケルがあまりにも綺麗に笑ってるから、いつでも見られるようにプリントして百均で買ってきた写真立てに入れた。
    「タイガくん、あの写真気に行ってるよね」
    「おう」
    「なんでもない時の写真なのに、どうして?」
     カケルが不思議そうに首を傾げる。ホントの理由なんて、恥ずかしくて言えない。
    「まぁ、いいだろ。このスタイルになってから結構初期のだし、初心をわすれないように、ってな」
    「なるほどぉ……」
     フンフンと頷くカケル。ホントの理由を知ったら、どんな風に思うだろう?
    「こういう写真さ、これからも増やしていきたいよね」
    「そうだな」
    「それで、いっぱい部屋に飾るの! それぞれの部屋に! そしたらそれぞれの部屋に帰っても、いつも一緒に居るみたいじゃない?」
     これだけ一緒に居るのに、カケルもまだ一緒に居るのを望んでくれているのか。うん。本当に望んでくれているのなら、そろそろ良いかも知れない。
    「なぁ、カケル」
    「なぁに?」
    「写真で一緒に居るみたいに感じるんじゃなくてさ、マジで、一緒に暮らさないか?」
    「へっ!?」
     カケルは驚いた顔で顔を赤くした。指先をモジモジさせ、視線を逸らして、口をもごもごさせる。返事は聞こえてこないが、こんな態度を見れば、わかるんだよな。
     俺は小さくガッツポーズをした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕💕💕💕👏👏👏👏💯💯💯💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ。
    そばくんに対して過保護なパンくんが見たいです。
    「ねぇね、タイガくん」
    「あ?」
    「これからコウジさんたちと飲みに行くんだけど、タイガくんも来る?」
    「あぁっ?!」
     飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。なんで、カケルが、あの探偵と?
    「ふ、二人で、飲みに行くのか?」
     まさか、俺が油断している間にあの探偵がカケルを? 俺らのファンとか言ってたけど、まさか、まさか……。
    「ううん、助手のユウくんやコウジさんのお友達も一緒みたい。タイガくんもどうかなって思ったんだけど……。もしタイガくんにその気がないなら僕一人で」
    「俺も行く!」
     カケルの言葉に被せるように、俺は大きな声を上げた。自分の好きなヤツが、いくら二人きりじゃないとはいえ、俺のいないところで他の男と飲むなんて耐えられない。それに、カケルは酒に弱いんだ。酔ってふにゃふにゃになってるカケルはめちゃくちゃ可愛いし、何かされちまうかも知れない。俺は酒を飲んでも、絶対に少しだけにしておくぞ。ちゃんとして、カケルのことを守るんだ……!
    「えへへ。タイガくんがいるなら安心だなぁ。僕、お酒弱いし、コウジさんのお友達は……僕らも会ったことあるみたいだけど、緊張しちゃうだろうから」
     安 1434