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    1182文字
    22世紀蕎麦屋成人タイカケ
    酔っぱらってるカケのはなし。

    『カケル、今どこ?』
    「え~? んとね~、駅!」
    『どこの?』
    「……どこかな?」
    『あぁ?』
     電話の向こうのタイガくんは、その後も続けて何か言っているけど、フワフワした頭には入って来ない。
    『迎えに行くから、そこ動くな』
    「ん? うん」
     返事をすると、ぷつりと電話が切れた。迎えに来る? いったいどういう事だろう? お迎えに行くのは僕だよ? タイガくんの幼稚園まで。だから、タイガくんが僕を迎えに来るのは変な話だ。一人で小さいタイガくんが表を歩くのは危ない。
     あれ? タイガくんって、そんなに小さかったっけ? それに、幼稚園……って。ん?
     なんだか違和感がある。あ、そうだ。タイガくんはもうとっくに幼稚園は卒園している。小学校も、中学も、高校も……。
     あれれ? なんで僕、今タイガくんを幼稚園までお迎えに行かなきゃって思っていたんだろう。
     顔を上げると、さっきまでわからなかった駅名が読み取れた。なんだ、最寄り駅じゃないか。もう疲れたし、なんだか頭はフワフワするし、早く帰ろう。あ、でもタイガくんが動くなって……。
    「カケル!」
     突然名前を呼ばれて顔を上げると、大きなタイガくんがいた。
    「あれぇ? タイガくん、急に大人になったねぇ」
    「はぁ? なに言ってんだおめぇ」
    「今ね~、タイガくんを幼稚園までお迎え行かなきゃって思ってたんだけど、タイガくんは~えっとぉ、高校は卒業してぇ……」
    「相当酔ってんな、どんだけ飲んだんだよ」
    「あ~、そうだ、僕お酒飲んだんだぁ~!」
    「……はぁ」
     タイガくんは大きく息を吐いた。よく見ると額には汗が滲んでいて、肩で呼吸をしている。
    「もしかして、タイガくんおうちから走ってきたの?」
    「あぁ。なんかカケルの様子変だったから、迎えに来た。ほら、帰るぞ」
     タイガくんはそう言うと、僕を支えるように背中に手を回した。僕に合わせて、タイガくんhあゆっくり歩き出す。
    「カケル、酒そんなに強くないんだから、飲みすぎるなよ」
    「うん、ごめえんねぇ」
    「まぁ、ちゃんと俺の言った通り動かず待ってたからいいよ。これからは、俺がカケルを迎えに行くから」
    「……えへへ、昔と逆だねぇ」
     なんだか嬉しくなって、僕は笑い出した。タイガくんは呆れた顔をしていたけど、どこか優しい目をしている。
     あぁ、そうだ、この目。思い出した。タイガくんはあっという間に大人になって、子供の頃に約束した通り僕の恋人になったんだ。
    「ふふふ」
    「何笑ってんだよ?」
    「なんでもなぁい」
     そうだそうだ。タイガくんは今僕の恋人なんだ! 幼稚園にお迎えに行ったときに嬉しそうにしていたタイガくんも可愛かったけど、今こうして僕の隣にいる大河くんはカッコよくてとっても素敵だ。
    「ふへへぇ」
    「……変な奴」
     タイガくんもそう言うとクスリと笑った。
     子供の頃、手を繋いで歩いた道を今日もこうして寄り添って歩く。きっとこの先もずぅっとこうしているんだろうな。あぁ、僕って幸せ者だ。
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    recommended works

    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064

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    TRAINING154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート
    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺も 1422

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563