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    どうしようもないものを投下

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    668文字
    ガリカジのタイカケ
    事後

    「あっつー……」
     カケルが身体を起こしてベッドサイドに置いていた杖に手を伸ばした。すいっと一振りすれば、魔法で部屋がひんやりとした。
    「ふぅ」
     一息ついているカケルの身体には、ところどころに俺が虎になってしまったために毛があちこちについていた。ふぅ、と息を吹きかけて飛ばそうとしたけど、汗のせいで張り付いて剥がれない。舐めとろうと思って、カケルの背中をベロベロ舐めた。カケルは「くすぐったいよ~」と笑った。数回舐めたら毛は殆ど取れた。取り残しがないかよく見ると、あちこちに引っ搔いたような傷がある。俺の爪と牙のせいだ……。冷静になった途端、興奮が収まって俺は人間の姿に戻った。
    「カケルぅ……」
     これ以上傷つけないように、俺はそっとカケルに腕を回した。ぎゅうって抱きしめたいけど、また傷つけるのが怖くて力を入れられない。
    「どーしたの、タイガきゅん」
     カケルは優しく俺の頭を撫でてくれる。いつも俺に優しくて、甘やかしてくれるカケル。大好き。だけど、俺は……。
    「ごめん、また、傷つけた」
    「あー、いいよ、このくらい平気平気! 治癒魔法で治るレベルだし! それに、」
    「……?」
    「なんかさ、タイガきゅんとシたな~って感じるから、なんかイイかも」
     照れた様子で笑うカケル。そんなこと言われたら、俺、俺……っ!
    「あらら! タイガきゅ~ん、またお耳出ちゃってるよん?」
     カケルは楽しそうに笑って、俺の耳を優しく揉む。だめだ、だめだカケル。そんなことされたら……。
    「フーッ、フーッ」
    「……もう一回、する?」
    「……する」
     やっぱりカケルは、優しい。大好き。今度は俺も、優しくする。
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    recommended works

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    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064

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    TRAINING154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート
    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺も 1422

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563