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    オルト

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    1043文字
    22世紀蕎麦屋のタイカケ

     今日はカケルとデートだ。まだ、付き合うことにOKは貰えていないけど、誰が何と言おうと、これはデートだ。今月は店の手伝い頑張って、テストもなんとかクリアしたから小遣いもアップしてもらえた。今日は俺が、カケルをリードするんだ。
     俺はかなり気合を入れて、持ってる中で一番上等な服を着て(バイトのレオに選んでもらった)、それに合うちょっと洒落た靴を履いて(兄貴に借りた)、デートのノウハウを頭に入れて(蕎麦食べながらゼウスじーさんがなんか言ってた)、待ち合わせ場所に立っていた。時間まであと十分。カケルを待たせるわけにはいかないと思って、待ち合わせの三十分前にはこの場所についていた。
    「あっつ……」
     太陽の位置が変わって、少し日差しが当たる。さっきそこの自販機で買ったペットボトルのジュースは、すっかりぬるくなっていた。
    「タイガくーん!」
     向こうの方から、カケルがパタパタと走ってくるのが見える。俺やクラスの奴らとは違って、走る姿はどこか上品に見える。
    「ごめん、俺遅刻しちゃったかな?」
     カケルは腕時計に目をやった。
    「遅刻してねぇよ。俺が、早く来てただけだから」
     今までも、カケルと待ち合わせをすることは多々あったけど、俺がこうしてカケルを迎えるのは始めてた。
    「わ、珍しい! タイガくんが先に来てるなんて! 暑かったでしょ? そこの喫茶店で、冷たいものでも飲もう!」
     カケルは額に滲んだ汗を、ハンカチで丁寧に拭った。俺ったらゴシゴシして終わりなのに。そう思いながら自分の額に手を伸ばそうとすると、カケルに手を止められた。
    「タイガくん、いっぱい汗かいちゃったかな? 襟元まで濡れちゃってる」
     カケルはそう言いながら、ハンカチを裏返して俺の汗を拭いてくれた。なんだか、照れる。
     ていうか、せっかくいい服着て来たのに、汗で濡れてるとかカッコわりぃ。涼しい場所で待ち合わせるべきだった。俺は一つ学習した。
    「ほら、行こ? おめかししてきてくれたタイガくんに、おにーさんがいいものご馳走してあげる」
     カケルはニコニコしながら言った。別に、揶揄ってる風ではないけど、なんか子ども扱いされてるみたいでモヤモヤする。俺はもう高校生なのに。
    「今日は俺がリードすっから。行く場所も、全部考えてる」
    「え」
    「ほら、行くぞ」
     俺はカケルの手を引いて歩き出す。なんだかんだ言うかと思ったが、カケルは「そっかぁ」と楽しそうに言って、俺にしっかりついてくる。
     よし、今日こそは、交際にオッケーをもらうぞ!
     ぎゅう、とカケルの手を強く握り、俺はまっすぐ道の先を見た。
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    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ。初夜まで道のり通そう。タイガきゅんとお付き合いを始めて早三か月。そろそろ、キス以上のことがあってもいいんじゃないかと思っているんだけど、全然そんな気配はない。俺が一生懸命それらしい雰囲気を作っても、タイガきゅんには全然効いていない。ベッドに座って寄りかかったら、「眠いのか?」なんて聞かれるし、じっと上目遣いで見つめたら「何ガン飛ばしてんだよ。怖くねーけど」とか言われるし、二人きりの部屋で服を脱ごうをしても「暑いのか?」だって! 意気地がないのか、純情すぎるのか……。そりゃ、俺だってキスだけでもすっごくドキドキしちゃうけど……!
     いったいどうしたらタイガきゅんはその気になってくれるだろう? いっそ、正直に先に進みたいと言うべきか? いや、そもそもタイガきゅんはこの先を知ってるの? 俺だって最近調べて知ったのに?
    「うーん……どうしたもんかにゃ~」
     ネットの海で自分と同じ状況の人を探しても、ぴたりと一致する人はいない。それでも、恋人に仕掛ける方法はいくつか見つけられた。
    「何事もものは試しだよね」
     俺は「準備」をすべく、引き出しに仕舞っていたいたローションとゴムを手にトイレへと向かった。

    「ねぇね、タイ 1207