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    オルト

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    594文字
    キョンシ院タイカケ
    (いつものやつ)

     いつものようにカケルたちの住む家を訪ねてきたら、ちょうど玄関のところに籠を背負ったユウとカケル、それからヒロさんがいた。
    「たぁ!」
     真っ先に俺に気づいたカケルが、ピョンピョン勢い良く飛んできて俺に抱きついた。勢い余って後ろにコケた。
    「たぁ、たぁ!」
    「なんだよ、落ち着けって」
     頭を撫でてやると、すごく嬉しそうな顔をした。めんこい。
     ヒロさんはカケルを操り俺から引き剥がして言った。
    「今からカケルが初めておつかいにいくんだよ」
    「おつかい?! 町に? 流石に無理なんじゃ……」
     喋れない、人間のように歩けない、硬直しているしたまに暴れてしまう。そんなカケルが人間たちの町になんて……。
    「うん、流石に町は無理だから、ちょっと先まで木の実を取りにね。ユウをお守りにつけて。どう? タイガも一緒に行ってくれないかな?」
    「俺も、っすか?」
     カケルはヒロさんと俺の顔を交互に見ている。期待と不安が入り混じったような顔だ。
    「カケルもその方が頑張れると思うし。ね、ユウ?」
    「まぁ、そうだな! どーする?」
    「い、行く!」
     ユウだけにカケルを任せておつかいだなんて……。
     カケルのことは、俺が守るんだ……!
     俺の返事に歓喜したカケルは、ジタバタ身体を動かした。こんなに喜ばれるなんて、こっちが嬉しくなる。
    「よし、行くぞ、カケル」
    「ぁう!」
     カケルの手を取って歩き出す。ユウが後ろから「俺がいるの忘れていちゃつき過ぎるなよー!」と言った。
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