「なぁ、おめぇってなんで神の事信じてんの?」
「え?」
俺が尋ねると、カケルはキョトンとした顔をした。神父という立場の人間におかしなことを聞いているとは思っているけど、どうしてか知りたくなった。カケルのこと、もっと知りたい。……だって、その方が、なんつーか、堕としやすい、し?
「勿論、信じているよ。だからこうしてお仕えしているし、教えを皆に伝えているんだ」
「……本当に?」
「疑り深いなぁ。まぁ、正確には少し違うかな」
カケルは首から掛けて服の中に入れているロザリオを出した。うわ、そんなもん出すな! 俺は目を背ける。
「これをくれたのが、僕の尊敬する人。その人が僕に色々教えてくれてね……僕はその人のお陰で今こうしていられる。その人が信じていたから、信じるようになった、って感じかな」
「ふぅん」
ロザリオを視界に入れないようにカケルの方を見ると、過去を懐かしむような表情をしていた。一体、何を思い出しているんだろうか……。カケルの事をもっと知りたくて聞いたのに、カケルの知らない部分に新たに気づいてしまった。
「それ、そんなに大事なの?」
「そうだよ。だから、手を出しちゃい嫌だからね? って、無理か!」
何がおかしいのか、カケルはケラケラ笑っている。なんだよ、ちくしょう。出来るなら、そんなもんもいつも抱えている本も焼き尽くして、カケルをそのままかっさらいたい。でも、カケルの力が強いし、それに、なんかカケルのことはもtっと、違うように扱いたい。
カケルが、俺たちの仲間になるって言ってくれて、それで俺はカケルの手を取って、手を繋いで……。
「タイガきゅん、どうかした?」
「べっつに」
神父のくせに、悪魔である俺とこうして普通に話してくれるんだから、まぁ、脈はあるよな?