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    691文字
    キョンシ院のタイカケ(いつもの)

    「カケル」
    「う?」
     朝が近づき、カケルが自分とユウの遣っている寝室に入ろうとしているところで声を掛けて。カケルは目をしょぼしょぼさせて俺を見ている。キョンシーと言えど、自我が戻り始めているから眠くなったりするんだろうか?
     鍛えれば、短時間なら日中も外を出歩けるらしく、最近は陽が沈む頃からこの薄暗い森の中を歩かせているが……。
    「カケル、眠いのか?」
    「んー……」
     カケルはこくんと頷いた。俺はカケルの手を取って、ベッドへ誘導する。
    「た……?」
    「今日は、カケルが寝るまで傍にいる」
    「あ~!」
     カケルは嬉しそうな声を上げる。俺は横になるカケルのそばにしゃがみ、そっとカケルの頬を撫でた。カケルは目をぱしぱし瞬かせている。長い睫が、フワフワ揺れる。
    「夜になったら、また来るから。ちゃんと寝ておけ」
    「ん……」
     カケルは頷くとすぐに目を閉じ、眠り(と言っていいのかわからないけど)についた。
     こうして寝ている姿は、とてもキョンシーとは思えない。ただの人間が、寝ているだけにしか見えない。
    「カケル。いつか、二人で町に行こうな」
     夜中の間、殆ど起きていたから俺も眠くなってきた。けど、今日はミナトさんの料理屋でバイトがある。だから、行かなきゃならない。
     バイトして、昼休みに寝て、またここに来る前に少し寝よう。
     出来るだけ、夜の間はカケルの傍にいて、動いているカケルを見ていたい。まぁ、たまにいつの間にか寝ていて、一晩中カケルに見つめられていたこともある。ユウから「カケルが一晩中寝てるタイガの事見てたぞ」と聞いた時は恥ずかしかったな。
     あぁ、もう行かないと。眠るカケルの頬にそっと唇を押し当てて、俺は部屋を後にした。
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    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ。
    そばくんに対して過保護なパンくんが見たいです。
    「ねぇね、タイガくん」
    「あ?」
    「これからコウジさんたちと飲みに行くんだけど、タイガくんも来る?」
    「あぁっ?!」
     飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。なんで、カケルが、あの探偵と?
    「ふ、二人で、飲みに行くのか?」
     まさか、俺が油断している間にあの探偵がカケルを? 俺らのファンとか言ってたけど、まさか、まさか……。
    「ううん、助手のユウくんやコウジさんのお友達も一緒みたい。タイガくんもどうかなって思ったんだけど……。もしタイガくんにその気がないなら僕一人で」
    「俺も行く!」
     カケルの言葉に被せるように、俺は大きな声を上げた。自分の好きなヤツが、いくら二人きりじゃないとはいえ、俺のいないところで他の男と飲むなんて耐えられない。それに、カケルは酒に弱いんだ。酔ってふにゃふにゃになってるカケルはめちゃくちゃ可愛いし、何かされちまうかも知れない。俺は酒を飲んでも、絶対に少しだけにしておくぞ。ちゃんとして、カケルのことを守るんだ……!
    「えへへ。タイガくんがいるなら安心だなぁ。僕、お酒弱いし、コウジさんのお友達は……僕らも会ったことあるみたいだけど、緊張しちゃうだろうから」
     安 1434