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    632文字
    パンそばのタイカケ

     俺のぺたんこの布団で、天使が寝ている。
     綺麗なオレンジの髪は、窓から差し込んでくる夕日を浴びてより一層美しく輝いている。
    「……やべぇ」
     一緒にネタを考えていて、俺がコンビニに水道代払いに行っている間にカケルは寝落ちていたのだ。
     前から、綺麗な奴だとは思っていたけど、こうしてまじまじと見ているとより一層そう感じる。白い肌も、長い睫も、柔らかそうな唇も、全部がこの世のものとは思えない程美しい。
    「普段、俺の横に立ってるんだよなぁ」
     誰よりも、カケルに近い場所は俺のものなのだ。そう思うと、こうして組んでいることが不思議に思えてくる。養成所でも、カケルは美人だって言ってる奴はいっぱいいたし、局にいけばスタッフから出演者までいろんな人がカケルの美しさをコソコソ褒めている。
     カケルを見慣れているせいで「そんなに言うほどか?」と思っていたけど、やっぱり改めて考えるとめちゃくちゃ美人だ。
    「…………」
     吸い寄せられるように、カケルに顔を近付ける。ふぅ、と寝息が額にかかる。
     ずっと、こうして俺が一番近くにいて、一緒にお笑いして、生活して……それから、
    「…………あ」
     やっちまった。
     唇に、じわりと熱が広がる。この先の未来の想像を……いや、願望を思い浮かべていたせいだ。
    「ん、ううん……」
     カケルが小さく唸り、ゆっくりと目を開いた。
    「あ、たいがくん……おかえり」
     ふわりと笑って、甘い声を上げた。コレで目を覚ますなんて……
    「なぁ、おめぇ、実はどこかの国の姫だったりする?」
    「え……新しいギャグ?」
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    TRAININGパンそばのタイカケ。
    そばくんに対して過保護なパンくんが見たいです。
    「ねぇね、タイガくん」
    「あ?」
    「これからコウジさんたちと飲みに行くんだけど、タイガくんも来る?」
    「あぁっ?!」
     飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。なんで、カケルが、あの探偵と?
    「ふ、二人で、飲みに行くのか?」
     まさか、俺が油断している間にあの探偵がカケルを? 俺らのファンとか言ってたけど、まさか、まさか……。
    「ううん、助手のユウくんやコウジさんのお友達も一緒みたい。タイガくんもどうかなって思ったんだけど……。もしタイガくんにその気がないなら僕一人で」
    「俺も行く!」
     カケルの言葉に被せるように、俺は大きな声を上げた。自分の好きなヤツが、いくら二人きりじゃないとはいえ、俺のいないところで他の男と飲むなんて耐えられない。それに、カケルは酒に弱いんだ。酔ってふにゃふにゃになってるカケルはめちゃくちゃ可愛いし、何かされちまうかも知れない。俺は酒を飲んでも、絶対に少しだけにしておくぞ。ちゃんとして、カケルのことを守るんだ……!
    「えへへ。タイガくんがいるなら安心だなぁ。僕、お酒弱いし、コウジさんのお友達は……僕らも会ったことあるみたいだけど、緊張しちゃうだろうから」
     安 1434