「のぞむよ」―――
スハは隣で無防備に眠る可愛らしく整った顔を見た。安らかな寝顔にしばし見入るが、ふと配信時の明るさと配信外で時折見せる賢者の海の目について思った。彼が抱えるものに少しでも寄り添えたら、そう思うようになったのはいつの頃からだったか。
明るく子どもっぽく笑い、時に悪戯にあざとく、年上とは思えないくらいにとても親しみやすい。それが初めの印象。そのうちに、彼には臆病な面もあって、ああだこうだと考え込みやすく、初対面の人物と打ち解けるのには時間を要するのだという事が分かってきた。
そうして知れば知るほどに、どうしてもこの可愛い人にちょっかいを出したくてたまらなくなった。気になって仕方がない、これが恋なのだと自覚した時には、きっと近いうちに自分はこの人を思う存分に抱き締めてみせるのだという根拠の無い自信に囚われていた。イタズラなおねだりも、わざと作った可愛い声も、全部冷たくあしらって、それで拗ねてしまう顔を見るのが好きだった。宥めるように頭を撫でると怒られるが、言葉に反して少しだけ嬉しそうな顔をしているのには随分前から気付いていた。
1690