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    ゆ!ま!

    🌈 🕒散文など。*suuki*🌊👔
    捏造過多、解釈違い、許して下さい・・・。
    ここにある文章についてだいじなこと→薄目で見てパッションで理解する!!!

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    ゆ!ま!

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    元恋人同士🌊👔。元ネタはTwitterでのスハとうきくんのやりとり。お見舞いうきくん。ただしうきくんは後ろ姿しか出てきません。

    (確かに幸せだったよ)―――


    「何か悪いものを食べて体調を崩している」

    退勤後、電車の中で開いたスマホの画面に飛び込んできたSNSの呟きがこれである。本当にたまたま、直近で呟かれたそれが目に付いてしまったガオンは、小さく息を吐いた。時刻を確認するとつい先程。呟いた本人が一人暮らしをしていて、体調を崩した時にすぐに駆け付けてくれるような相手がいない事はガオンが一番よく知っていた。

    「大丈夫?動ける?助けが必要?」

    念の為にメッセージを入れてみたが、なかなか既読がつかない。今日はジムの予約を入れていた日だったので、他のことを考えている余裕は無かった。そのはずだが、トレーニング中は返事を気にしていたせいで、ジムの先生の話はろくろく耳に入ってこなかった。
    さすがに既読がついたであろうと、再びスマホを確認した時刻は21時過ぎ。予想も虚しくいまだに未読のままであった。ただ寝ているだけなのかもしれない、そう思っても、やはり気になる。どうしようか。スハの家の最寄り駅までは乗り換え無しで行ける。過去に何度も通った道だ。
    部屋の中で倒れているかもしれないし、心配で様子を見に行くのは友達として当たり前の事だ、と強引に自分を納得させて、髪を乾かしきらないままジムにあるシャワー室から出た。


    スハとガオンは、以前恋人同士であった。
    ガオンの方が年上だが、それを感じさせない気安さで、スハの方がよくガオンをからかっていた。ライバー仲間で、同期。冗談を言い合える良き相談相手。それがいつの間にか距離を縮め、いつの頃からか「恋人」というむずがゆい肩書きを持つようになった。
    しかし、その関係も今となっては過去の話。今はスハもガオンもお互いひとり同士。恋だの愛だのという甘い関係からはとうに卒業していた。
    それでもいまだに以前と変わらず「良い友達」というポジションは貫いていた。それはお互いに。ギクシャクしないように自然な別れ方をしたから。少なくともガオンの方はそう思っている。
    だから、友人を見舞いに行くのにいちいち葛藤する方がおかしな話なのだ。


    先程立ち寄ったドラッグストアの袋が歩く度にカシャカシャと音を立てている。スハの家の最寄り駅について、ここまで真っ直ぐ迷う事はなかった。
    あれから何一つ変わった風景はなく、少し先に見えるコンビニでよく一緒に買い物をして帰った事を思い出した。スハが駅で待ってくれていて、そこから2人並んで歩いて、他愛もない話で笑って、そうしてあのコンビニに立ち寄るのだ。お菓子やジュースやアイスを買って、パンパンに膨らんだ袋がカシャカシャと音を立てる。あの時はいつもスハが重たい荷物を持ってくれていた。ガオンだって男であるから荷物を持つくらい何でもないのに、それでも、ガオンは甘えてくれたらいいの、と笑って言った。
    スハ……。感傷的になって心の中で名前を呼ぶ。ここに立って懐かしい日々がこんなにも自分を悲しくさせるとは思わなかった。全てが愛しい日々だった。当時は息もできないくらい苦しいと、我慢ばかりだと、そう思っていたのに。今となっては楽しかった思い出だけが切なく思い出される。
    記憶は小さなビーズを集めた宝箱だ。間違いなく、過ごした日々の小さな出来事は、キラキラ光る愛しい宝たちだったのだ。


    スハのマンションが見えてきて、目の前の角を曲がればエントランス外にある対になったイルカのオブジェが目に入る。しかし、敷地に1歩足を踏み入れて、そのまま体が固まってしまった。エントランスホールに人がいたのだ。
    ふわふわの緩いパーマ、淡い紫色のグラデーション、その髪型に見覚えがあった。一瞬女性かと思ってしまうような細身の体つきで、黒のタイトパンツを履いている。「彼」だ。
    どうしたらいいか分からず、ついオブジェの脇に身を隠してしまった。外から見たら奇妙な光景であろうが、恐らく中から後ろを振り向く事は無いので、そのまま動かずに様子を眺めた。
    彼、浮奇くんはエントランスからインターホンを鳴らし、暫く何事かを喋ったあと、開けられたドアを通って奥のエレベーターの方へ歩いていった。
    ガオンはそれをただ眺めていた。浮奇が見えなくなってから、「何で」という声が漏れ出た。
    何で?少し前からスハとあの浮奇ヴィオレタという美しい青年が仲良くしている事はガオンも知っていた。だから、スハの家に彼が居ても驚きこそすれ納得は出来るのだ。そういう仲なのだと知っているから。浮奇がスハにどういうスキンシップをとっているかも、スハが彼にどういう態度を返しているかも知っている。表面上だって顔を覆いたくなるくらいの恥ずかしいやり取りをしているのは周知の事実なのだ。それなのに、浮奇はスハの招きがないと家に上がれない。
    何で……ガオンは唇を噛んだ。
    てっきり2人は……、その先を考えてやめた。スハが慎重な男であったのは知っている。だがそれは過去の話で、浮奇と付き合うに至ってからは考え方が変わったのだと思っていた。
    なのに、そうか、まだ。
    考えて泣きそうになった。カバンに入っているスハの部屋の合鍵を今すぐ投げ捨てたくなった。何でだよ、と、叫び出したかった。
    返してくれと言われないのだ。いつまでたっても、もう必要ないでしょう?だから鍵を返して、と、言ってくれないのだ。だから、ずっと返しそびれている。自分から突き返せない事を未練だと絶対に思いたくなくて、ずっとスハのせいにしてきた。
    それがさっきの光景を目にしてバリバリと心に亀裂が入ったような衝撃を受けた。それは怒りだった。何で自分はスハのスペースに簡単に入り込める鍵をまだ持てていて、彼にはそれが無いのか。そんなのはおかしい。この鍵は今や彼の手にこそあるのが相応しい代物なのに。
    勢いをつけてどこか遠くまで放り投げてしまいたい衝動を抑えて、ずんずんと大股で自動ドアをくぐった。そしてスハの部屋の宅配BOXにドラッグストアの袋を丸ごとぶち込んで、財布に入れていたレシートの裏に持っていたボールペンで「SUUKI 잘 먹었습니다!!」と書き殴った。
    そして、持っていた合鍵を乱暴に取り出し、じっと見つめた。
    スハが返せと言わないのが悪いんだ、忘れているわけじゃないだろう?僕だってずっと忘れていたわけじゃないんだ、これは、最後の気がかりだった。これは、最後まで手元に残った思い出の宝だったんだよ、スハ……。これは、お前が僕にくれた幸せな記憶の鍵だ。
    次々とまとまらない思考が浮かんできて足元が沈みそうになる。ダメだ。浮かばないといけない。息をしないと、そう思って頭を振る。
    そのまま親指で鍵を数回撫でたあと、見えないように書き殴りのレシートで包んで一緒に袋に入れた。
    知ってた?幸せだったんだよ。それなりにね。
    「ばーか」
    そう呟いて踵を返した。


    翌日、体調の良くなったスハは、コンビニに行くために家を出た。郵便物の確認のために宅配BOXに目をやると、そこでガオンからの荷物に気が付いた。
    袋に入った薬、スポーツドリンク、栄養食、ついでにスハの好きなチョコレートを確認して、メモ紙を手に取る。そうしてそこに書かれた文字を見るやいなや、ガオンへの愛しさが一気に込み上げてきた。彼は浮奇がここへ来た事を知っているのだ。しかし浮奇からガオンを見たとの話は聞かなかった。となるとガオンが偶然浮奇を見かけたのか。そうして身を引いてここに荷物を預けたのだ。
    メモ紙もそれしか無かったのであろうレシートの裏だ。そしてそのレシートに包んであったのは、鍵。紛れもない、ガオンが持ったままだったスハの家の鍵であった。
    やっと、帰ってきたのか、とスハは鍵をみる。
    様々な感情が溢れてきて胸が熱い。切なく心を焼く熱の波は、そのどれもが悲しい色では無かった。雑に書かれた文字を愛おしそうに目を細めて撫でる。
    「ガオン……」
    ぽつり、呟いた声が、1人立ちつくすエントランスホールに響いた。



    スハはかつてガオンの事が好きだった。それは紛れもない愛であった。年上なのにわざと可愛らしく振る舞う彼をからかうのが好きだったし、年相応に大人びて話す彼の言葉を聞くのも好きだった。頭も良くて仕事もできるのに、求められるがままにチャーミングに振る舞い、たまに頑張りすぎて笑いながら無理をしている彼を叱って寝かし付けることもあった。奇跡的に恋人同士になれて、それで浮かれて先が見えなくなって、上手くいかない関係に疲れて恋人の関係は解消してしまったけれど、それでも、今でも好きな人だった。愛しているかと聞かれたらそうだと答えるが、それはラブかと聞かれるといやそうではないと答える。
    大切な人ではあるが、その大切さはもはや遠くから見守りたい、慈しみたいという家族愛に似たものへと変わっていた。恐らくガオンのスハに対する思いもそのようであると思って、スハは合鍵の返却を強いる事はしなかった。互いが自由に思うままに振る舞う事が願いであると思っていたからだ。悲しみもわだかまりもいつかは消える。何を強要しなくともきっと、愛した記憶はずっと残るし、苦しい感情は薄れていく。そういうものだと学んだ。
    そしてこれはガオンからの激励だ。
    お幸せに~!と、おどけた声が聞こえるようだった。だが、素直なガオンはそう言って唇を尖らせながらも、少しだけ悲しい顔をするんだろうな、と、そこまで想像出来た。大丈夫だよ、平気、いつもそう言いながら苦しそうな顔をしていたから。
    嘘が下手くそで、どうしても顔に出てしまう、可愛い人。
    上手く好きだと伝えられずにごめん。別れた後に散々後悔して頭を占めた言葉だ。
    同じ過ちを繰り返したくはないから、だからスハは少しだけ積極的になれた。浮奇がスハを変えたのは事実だが、変わる勇気をくれたのはまぎれもないガオンであった。


    「可愛いね、ガオン」
    「それはもう聞き飽きた!スハくん、他に何かないの?」

    (好きだよ、とても、)

    「だって、ガオンが可愛いのは事実でしょう?」
    「それはそう。いや!それはそうだけど?ね?」

    (あなたが好きだよ、)

    「アハハ」
    「笑って誤魔化すのは無し!ロボットじゃないんだからぁ、もっと違う事が言えるでしょ~!」

    (こんなにも好きな事を、どうやってあなたに伝えたらいいの。)

    「あ~~、so cute?」
    「ミン・スゥーハーー!」

    (ねぇ、ガオン・・・)



    スハは何度もガオンの夢を見ていた。愛していたのに上手く伝えられなくて、それを過ちだったと後悔しながら謝り続ける。しかしその夢も最近はあまり見なくなっていて、いつかはそんな夢があった事も忘れていくのだろう。
    幸いにして関係は悪くない。「一緒にしよう」その約束が果たせなくなっただけのこと。
    愛しい人、大好きだったよ。それはもはや互いの胸の中で呟くのみ。伝えずとも良いのだ。もう、2人は別の道を歩いている。









    ※「잘 먹었습니다! 」この言葉が日本語と等しいニュアンスかは分からないのですが「ごちそうさま!」的な。絶対間違っていますが雰囲気で見てください。
    ※みんな国境なし会おうと思えば会える距離に生きている捏造世界。




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    Replies from the creator

    ゆ!ま!

    DONE🌊👔妄想。2人が付き合っていて、どんな風に夜を過ごしたのか。後に別れる前提なので甘くないです。説明っぽい。本当は甘々がいい。
    「のぞむよ」―――



    スハは隣で無防備に眠る可愛らしく整った顔を見た。安らかな寝顔にしばし見入るが、ふと配信時の明るさと配信外で時折見せる賢者の海の目について思った。彼が抱えるものに少しでも寄り添えたら、そう思うようになったのはいつの頃からだったか。

    明るく子どもっぽく笑い、時に悪戯にあざとく、年上とは思えないくらいにとても親しみやすい。それが初めの印象。そのうちに、彼には臆病な面もあって、ああだこうだと考え込みやすく、初対面の人物と打ち解けるのには時間を要するのだという事が分かってきた。
    そうして知れば知るほどに、どうしてもこの可愛い人にちょっかいを出したくてたまらなくなった。気になって仕方がない、これが恋なのだと自覚した時には、きっと近いうちに自分はこの人を思う存分に抱き締めてみせるのだという根拠の無い自信に囚われていた。イタズラなおねだりも、わざと作った可愛い声も、全部冷たくあしらって、それで拗ねてしまう顔を見るのが好きだった。宥めるように頭を撫でると怒られるが、言葉に反して少しだけ嬉しそうな顔をしているのには随分前から気付いていた。
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