景品持ってくな質のいい酒のお陰か、ナワーブはとても愉快な気分だった。
扉の影からひょこりと出てきた金の頭を見ても、くくくと笑いが漏れて、楽しくなってしまう。
「おや、トレイシーじゃないか」
「なんか賑やかだなーって」
ホセに手招きされ、とことこと室内に入ってきたトレイシーは寝るつもりだったのか、ノースリーブに短パンという出立ちだ。
トレイシーは厨房に用があったのだが、談話室から聞こえる声に室内を覗いてみれば、男三人で酒盛り中だったわけだ。
ずっとくつくつと笑い転げているナワーブに首を傾げながら、トレイシーはホセの向かいに腰を下ろした。
「なんか、珍しいメンバーだね」
「ああ、そうかもしれない。だが主催者を聞いたらもっと意外と思う筈だ」
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