空がお天気屋な季節失敗した
失敗した
失敗した!!!
舌打ちを混じえ、泥水を跳ねさせながら青年は雨の中を駆ける
ザアザア降りしきる雨粒が体や顔を鞭のように打ち付けていく
今の自分の心境を嘲笑う、おあつらえ向きの悪天候だと青年は苦笑する
駆け込んだ学園
学生寮の2階へ、地面を大きく蹴って、ひらりずぶ濡れのマントが翻る
(なんでココに来ちゃったかな)
自室ではなく、その隣の部屋を無意識に目指してしまった自分を顧みて、自虐的笑みを零す
「たっだいま〜〜!!キー坊!!」
大きく窓を開け放つ
飾られたジェリービーンズ、水やりのされたガジュマルの植木鉢、使われないベッドにはシャチのぬいぐるみ
清潔に整えられた室内 けれど部屋主は居ない
静かな部屋に開けっ放しの窓から入り込んだ大粒の雨が床を濡らし、その音だけが虚しく耳に反響する
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