ブルーモーメントに染まる朝いつからこうしていたのか。
それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
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