バレンタイン「若島津、手ぇ出せ」
寮の部屋、晩飯も風呂も済ませて俺と日向さんはそれぞれ自分の机に向かって今日の課題に取り組んでいた。そんな中、俺と同じく自分の机で黙々と取り組んでいた日向さんがいつの間にか近くまで来ていてそう声をかけられた。
「あれ?日向さん?もう終わったんですか??」
俺はノートに書く手を止めると声のする方に顔を向けてそう尋ねる。
「おう。さっきな。気付かなかったのか?お前、集中力すげぇな。て、そりゃそうか。ゴールもすげぇ集中して守ってるもんな。俺も自信あるけどお前には負ける気がする…て、ほら、手ぇ出せよ」
穏やかな表情でそれに何だか機嫌が良さそうでホッとする。
今日はバレンタイン。想いを伝えて通じ合ってから初めてのそれだし、少し浮かれてしまってたってのもあって朝からその話でちょっとあったから(俺がしつこくチョコがほしいって言ってしまったっていう…)それ以降はそのことには触れずにいたんだよな。普通に接してくれてたけど一悶着が気にはなってたから、一日の終わりに来てそういう顔を見られて安心した。
『若島津、手、出せよ』
あれ?そういえば似たような事があったような……
「え?どうして?」
「いいから」
そう言ってグイッと俺の手首を掴んで上向きにされた手のひらの中にキャンディみたいに包まれた茶色のキューブをいくつか落とされる。
「チョコレート??」
「おう。バレンタインデーってやつ?昨日母ちゃんがくれたんだ。たくさんあったからお前にもやる。いつも練習付き合ってくれるし、食いもんも色々分けっこしてくれるしな!」
ヘヘッて感じでちょっと照れたような、でもめちゃくちゃいい笑顔でそう言われたんだよなー。それが何だか可愛くてあの時見入っちゃったんだよね。
ふふ。懐かしい。小学生の時か。今もそれと変わらずなこの人。あの時のことと同じだって知ってか知らずか……
「んだよ、どうしたんだ?
もっとちゃんとしたのが良かったとか言うなよな!俺にはこれが今の精一杯だ」
俺の反応が悪かったからか少しムッとなって言われたけれど、照れも入ってるのか赤くなってて可愛い。可愛いのも変わらずだな。
「日向さんありがとう!めちゃくちゃ嬉しい!!朝があんなだったからアンタからのチョコレート諦めてたんだよね。まさかもらえるなんて!!大好きだよ、日向さん。今も昔もこれからも!!!」
言いながら愛しい人を折れるくらいギューーーッッッと抱きしめた。
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バレンタインの二人を思ってできた小話でした〜
でも時間がなくて雑……てこれまでもそんなちゃんとした文章できてないけども!
若島津が女々しいかなとも思ったり。チョコをしつこくねだるとか 笑
なんで俺からチョコあげなきゃなんねーんだ!と思いながらも用意してくれる日向さんもきっと子供の頃のことを思い出してだと思うけど、お母さんからもらったああいうのを用意すればいいか。ていうトコまでだと思います。健ちゃんにあげたトコは抜けてる 笑
日向さんが大好きな若島津とまだ色々とどうしていいか分からない日向さんな二人でした。進展したらもっとラブラブなバレンタインも過ごしてますよね♡
抱きしめる時間が長いから手のひらのチョコは体温で溶けて来てて日向さんに怒られてたらいいな 笑
2023.2.14