浮気 その日の任務を終え、治安維持局のビルの外に出ると、僕は視線を真上に向けた。視界の大半を埋めるビル軍の、その隙間から微かに見える空は、まだ澄みきった青さを残している。思考領域を操作し、知識データからアクセスした現在時刻は、まだ午後の二時を指していた。一日の大半をデュエルに費やすあの青年は、今頃街中を彷徨っていることだろう。
まだ人の少ない町並みに視線を戻すと、僕は繁華街へと歩を進めた。歩道をまばらに埋める人間を追い抜かすと、歩き慣れた道を進んでいく。いつもの角を右に回ると、五分もしないうちに広場が見えてきた。この繁華街にしては緑の覆いこのエリアこそ、デュエリストの集まるメインストリートなのだ。
広場に隣接するデュエルコートに足を踏み入れると、僕は中の様子を確かめる。僕をデュエルの特訓に引っ張り出す時、彼はよくこの場所を訪れていたのだ。行動範囲が広いとは言えない彼は、同じ場所を転々と巡っている。まだ日の登っているこの時間帯なら、町で巡り合うことも難しくはないだろう。
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