額 布団の中に潜り込むと、僕は前の方へと手を伸ばした。シーツの上を撫でるように手を滑らせると、目の前に横たわる背中に触れる。様子を窺うようにそこを撫でてみるが、抵抗される気配はなかった。大丈夫そうなことを確認すると、今度は上の方へと手を伸ばした。
首筋を伝うように手のひらを回すと、周囲を流れる髪に指をかける。腰まで届くほどに長い赤毛は、川のように僕たちの間を流れていた。指を櫛のようにして通してみると、引っ掛かることなくさらさらと流れていく。まるで作り物のように綺麗なのは、彼の身体が本当に作り物だからだろう。
髪の流れを堪能するように、僕は彼の頭に指先を這わせる。手入れの行き届いた長い髪は、高級な布のような感触がした。トリートメントをしっかりとつけているのか、揺れる度にいい匂いが漂ってくる。こうして後ろ姿だけを見ていると、女の子と一緒に眠っているみたいだ。
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