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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    TF主ゆや。ゆーやくんが自分から甘えてくる時は何かある時だったらいいなという願望です。

    ##アクファ夢小説

    甘える お風呂から上がり、自室へと向かうと、既に電気が消されていた。時刻は夜の九時を過ぎたところで、中学生が眠りに付くには少し早い。部屋の中を覗き込むと、音を立てないように室内へと足を踏み入れた。
     ベッドの上にかけられた布団は、半分だけがこんもりと膨らんでいる。顔は見えないが、中に人がいるのは明白だった。椅子の背にタオルをかけると、音を立てないようにベッドの中に潜り込む。
     隣にいた人影が、僕の方に身体を寄せてきた。腕を背中に回すと、強い力で僕の身体を抱き締める。普段からは想像もできないくらい直接的なスキンシップに、心臓がドクンと音を立てた。
     僕は、彼の背中に腕を回した。何度か背中を撫でると、頭の方に手のひらの滑らせていく。少し硬めの緑の髪を、指で掻き分けるように撫で付けた。
     布団の中で、彼が顔を上げた。真っ赤に煌めく両の瞳が、真っ直ぐに僕に注がれる。反射する光が少し揺れているのを見て、僕は彼の行動の真意を発した。
     真っ赤な瞳は、物欲しげに僕を見つめている。それに応えるように、僕は彼に顔を近づけた。唇と唇が触れ合う。一瞬で離して、再び唇を押し当てた。唇をこじ開けると、舌先を少しだけ交え、すぐに引き抜いた。
    「もっと、してほしい」
     暗がりの中から、男の子のかすれた声が聞こえる。珍しい彼からのお誘いだったが、僕には応えられなかった。
    「ごめん。できない」
    「どうして?」
    「我慢できなくなるから」
     僕は、彼に想いを寄せている。想っているということは、当然欲望もあるのだ。身体に触れたいと思っているし、もっと深い仲になりたいとさえ思ってしまう。しかし、一線を越えるには、彼の歳は若すぎるのだ。
     僕の言葉を聞いて、彼は恥ずかしそうに身じろぎをする。理屈としては理解していても、飲み込めていないのだろう。だって、彼は異性愛者なのだから。
    「なら、もっと触ってよ」
     僕の胸に顔を押し付けながら、彼は甘えるように言う。甘ったるい匂いがふわりと立ち上って、身体が熱を発した。足に足を絡めると、全身を密着させるように抱き締める。
    「っ……」
     腕の中で、彼が驚いたように身体を強ばらせた。足をくっつけているから、そこにあるものが当たっているのだろう。
    「ごめん。生理現象だから……」
     謝りながらも、僕は足を押し付けてしまった。ドクドクと鼓動する下半身が、彼の温もりで熱を帯びる。気を付けていないと、余計なことをしてしまいそうだ。
     手のひらを動かすと、彼の背中を撫でる。肩を撫で、脇腹を撫で、ぐるりと手を伸ばして胸元を撫でる。もう片方の手で頭を撫でると、指先で頬をなぞってみた。
    「なんか、触り方が変なんだけど」
     腕の中から、困惑したような声が聞こえてくる。この手のスキンシップに慣れていないのが、態度からバレバレだ。少しからかってみたくなって、余計な一言を言ってみた。
    「下心あるからだよ」
     腕の中で、彼の身体が強張る。これからされるかもしれないことを想像して不安になっているのだろう。怖がらせても可哀相だから、ちゃんとフォローを入れておく。
    「大丈夫だよ。今日は何もしないから」
     そう言うと、ようやく安心したようだった。身体から力を抜いて、僕に身を預けてくれる。小さな身体を包み込むように、何度か手のひらを動かした。
     しばらくすると、彼はそっと僕から身体を離した。布団から顔だけを出して、真っ直ぐにこちらを見つめてくる。弱々しい笑顔を浮かべると、柔らかい声で言った。
    「ありがとう」
     甘い時間は終わりみたいだった。名残惜しさを感じながらも、彼の身体から腕を離す。布団を被り直すと、何気ない風を装って声をかけた。
    「ねぇ、何かあったの?」
     彼は一瞬だけ動きを止める。ちらりとこっちを見ると、溜め息混じりに言う。
    「やっぱり、隠してはおけないか。どうして気づいたの?」
    「遊矢が自分から甘えてくる時は、大抵何かあった時だから」
     僕が答えると、彼は弱々しく笑った。自覚があるのだろう。再び溜め息をついてから、布団の中で仰向けになる。
    「そうか。……そうだな」
     そのまま、彼は言葉を切ってしまった。落ち込んでいる理由については、話したくないみたいだ。彼も男の子だし、それなりのプライドがあるのだろう。僕も、それ以上聞きだそうとは思わなかった。
    「言いたくなかったら言わなくていいよ。遊矢は、いつも正しいことをしてるって、僕は信じてるから。自分をしっかり持って」
     隣からは、何も返ってこない。不安に思って視線を向けると、彼もこっちを見ていた。暗がりの中でも、目と目が合っていることはなんとなく分かる。
    「ありがとう」
     それが何に対するお礼なのかは、僕には分からなかった。でも、何に対する言葉でも良いと思った。僕の想いは、ちゃんと彼に伝わっている。それが分かったのだから。
     僕は、この少年が好きだ。真っ直ぐで、曲がったことが嫌いで、どこまでも弱いけれど、それと同じくらい強かな、中学生の男の子が。彼は他人の意見に染まることが嫌いで、一度決めたことは最後まで貫き通すのだ。
     痛みは、新しい道を切り開くためのステップだ。彼が次のステップに進めるまで、側で見守っていたいと思った。
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