目覚めて一番、視界に映るのはキラキラと眩いばかりに輝くシャンデリア。わぁ、すごい。
人生で初遭遇したシャンデリアに呆然としながら、武道は瞬きを繰り返す。
シャンデリアの周囲を囲うよう配置されたベッドの屋根を起点に、幾重にも重なって垂れている虹色のシースルーカーテンは、幻想的な雰囲気を演出するのに一役かっている。
自宅のせんべい布団とは月とスッポンレベルで違う寝心地の良さを誇る布団に手を滑らせれば、つるつるとシルクのような最高の触り心地である。
かさり、と触れた軽い感触に、掴んだものを面前へと持ってくれば、バラの花びらだった。しかも、造花ではなく生花だ。
(物語のお姫さまが眠ってるベッドみたいだな……)
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