自由を分け合う子どもでいる方法「オメーよォ、もちっと『子ども』やった方がいいぜ。罰ゲーム受けてるみてーな顔で背伸びして無理したって、誰に褒めて貰える訳でもねェし」
だってもう、俺たちだけになっちまったしよォ。
そう言うミスタの顔は、とても穏やかだった。普段の軽薄な調子も無ければ、深刻な心配という雰囲気でもない。明日は雨だから傘があった方が良いかもな、という程度の、世間話のついでのような落ち着き払った言葉だった。
ミスタの真っ黒な瞳には穏やかな光が浮かび、上機嫌でチョコレートを選ぶことに夢中になっていた。年相応に浮かれている、どこにでもいる男に見えた。先ほどまで中年の男を銃床で殴り倒していたとは、とてもわからない。
フーゴはその隣で、黙って一緒に板のチョコレートを眺めている。下町の猥雑な街角には、秋の穏やかな日暮れが差していた。
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