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    「6畳半の夢」
    1時間縛りで書いたもの。修正入れてます

    http://sokkyo-niji.com/novel.php?id=182330
    元の文はこれ。↑

    お題は「素人の痛み」でした、めっちゃ難しかった…

    #的夏
    ofSummer

    【的夏】6畳半の夢

    お題:素人の痛み



    一人用の布団に二人じゃさすがにせまいね、と笑った。
    今日は藤原夫妻の…いや、夏目くんの家に泊まらせてもらっているのだ。あの猫も隣にいるが、今はそれ以上に夏目くんと一夜を共にできるのが嬉しくてたまらなかった。
    いやらしい意味じゃなく、言葉の意味通りに。

    本当に狭いので、二人でぎゅうぎゅうに抱き合わなければならない。
    足を絡み合わせて遊んでいると、猫からの視線が痛く刺さる。まるで私の獲物に手を出すなとでも言いたげだったが、お構い無しに夏目の細腰を抱いた。
    夏目くんは本当に細っこいですね、と眠たいかすれ声で言う。すると、すぐに抗議の言葉が返ってきた。
    「的場さん。おれ、別に女の子じゃないので。そんなこと言われても嬉しくないですよ」
    そうでしたね、ごめんなさいと謝ると、いいですよと笑い混じりの返答が来る。
    今日は夏目くんもご機嫌だなあと髪を撫でていると、シャンプーの香りが舞った。
    思わずうなじに顔を埋める。ぴくりと跳ねる細腰を片手で押さえつけて、すぅと匂いを嗅いだ。
    夏目くんは無抵抗のまま体を任せきっている。それが可愛くて、愛しくて。もう片方の手で髪を撫でてやった。
    外は冷雨が降り始めている。少し冷たくなった部屋で、暖め合おうと身を寄せ合う二人がいた。
    「夏目くん、こっちを向いてください。寂しいじゃないですか」
    「……………恥ずかしいので嫌です。」
    おおよそ10秒はかけてゆったりとそう返した夏目のうなじは真っ赤に染まっている。本当に恥ずかしいのだろう。
    「何がそんなに恥ずかしいんですか。」
    「だって、的場さんの顔見てると、顔があっつくなってきて真っ赤になっちゃいますし…いま、おでこにニキビできてるので。見せたくないんです」
    「ニキビなんて気にしませんよ。ほらこっち向いて」
    くるんと肩を持って夏目を無理くり正面に持っていくと目が合った。
    こんなに淡い色をしていたっけ、と思うくらい綺麗な色をした目だった。
    「君は綺麗ですよ」
    「だから、綺麗だとか可愛いとか…おれ、女の子じゃないですから」
    ニキビなんかで君の美しさが落ちるわけがない。本当に綺麗だと思っているから言っているんだ、君は綺麗だ、本当に綺麗だ。
    と熱弁すると、あまりの温度に夏目くんが面食らったような表情を見せた。そのあと、ふわりと笑ってくれた。
    「もう。そんなこと言うなら、的場さんの方が綺麗ですよ。長い黒髪に暗い赤色の目なんて、お人形さんみたいだ」
    「…そんなこと、初めて言われました。」
    「本当に?的場さんの方がよっぽど綺麗だと思うけどなあ。」
    こんな会話をするなんてまるで所謂バカップルみたいじゃないか、と襟を正そうとしたが残念ながら今の的場はスーツではなくパジャマだったので、正す襟はなかった。
    大人しくバカップルをやっていた方が今の状況だとよほど妥当らしい。
    「君の方が綺麗です。…本当に、閉じ込めておきたいくらい」
    屋根に水の跳ねる音がする。一瞬世界が止まったように静かになったので、何かまずいことを言ってしまったかと自分の発言を頭の中で反芻する。
    「…あはは!そうですね、前おれ的場さんに閉じ込められたことありましたよね。」
    ああそうだった、失念していた。
    的場は今まで夏目を何度も拉致監禁してきた。紆余曲折やすったもんだはあったものの、今の夏目は正真正銘的場の恋人だ。一門の当主ともなれば土日祝日に休みがとれるなんて奇跡でしかなく、今の時間も、七瀬にこき使われながらも上司としての威厳をかき集めてかっさらってきた休日の一部なのだ。お付き合いの条件が夏目の生活を脅かさないことだったので、前のような危ない橋はもう渡れない。残酷非道なお家に生まれた的場だが、夏目の前では的場は誠実な男であろうと努力していた。
    フリーズしたように固まる的場に、夏目は優しく声をかける。
    「もう大丈夫ですよ。前までのようなこと、今の的場さんは絶対しないですもんね」
    「………そうですね。絶対。絶対しませんよ」
    危なかった、抱きしめてしまうところだった。今の気持ちの昂りのすごさと言ったら夏目を潰してしまうくらいだった。
    信用してくれているのだな、と思うとふつふつと喜びが湧き上がってくる。
    夏目の7歳年上なのに、初心な少年のように心臓のドキドキが止まらない。
    どくんどくんと跳ね回る血液に、落ち着け落ち着けと念じてどうにか呼吸を合わせた。
    「私が夏目くんを守ります」
    そう言うと、いよいよ用心棒からの視線が痛く突き刺さった気がした。
    「…はい」
    夏目くんが肩口に頭を寄せて後ろ背に手を回してくる。白蛇が這うかのように妖艶な姿の反面、おずおずと、といったように遠慮がちなのが幼く、的場の目にはとても可愛らしく映った。
    なんか今のってプロポーズみたいですね。紡げず、その言葉は夏目の喉の中でなくなった。
    的場さんの心臓の音が聞こえる。とくとくとすごく速い音にもはや心配になるが、もしかして自分と同じことを考えてくれているのかな、と頭の片隅で思った。
    幸せだなあ、と。的場もらしくないことを考えていた。
    らしくないと言っても的場も一人の人間なのだが。
    「あ、流れ星」
    雲ひとつない空から雨が降り、その間から流れ星が覗く空は幻想的で。思わず綺麗だなと呟きそうになった。
    「結構数が多いですね。何か願いますか?」
    「そうですね…あ、おれ…的場さんの願い事、聞いてみたいです」
    「うーん…」
    自分の願い事なんて考えてみたこともなかった。それでも愛しの恋人に聞かれれば、と絞り出すように頭を回転させる。
    「夏目くんと来年も一緒にいたい、とかですかね」
    「…そんなの、願い事にしなくていいですよ…絶対に叶うから!」
    にへ、と緩く夏目は的場に笑いかけた。
    「そう、ですね。そうだといいなあ」
    願わくば、ずっと一緒にいたい。この時間をずっと味わって、たゆたっていたい。
    きっとずっと一緒にはいられないだろう。
    私たちは近付きすぎれば反目する。的場の恋人は同性な上に未成年。覚悟の上でお互い付き合ってはいる。だから口には出せない。どれだけ愛しくても的場には「ずっと」という、付き合いたての恋人さえ言ってしまえるような一言でも、夏目に約束してやれなかった。
    それでも、一緒にいられなくても一度は言ってやりたかったな。
    夏目を抱きしめながら、的場は自分の想いを抱きしめるように拳に強く力を入れた。
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    1時間縛りで書いたもの。修正入れてます

    http://sokkyo-niji.com/novel.php?id=182330
    元の文はこれ。↑

    お題は「素人の痛み」でした、めっちゃ難しかった…
    【的夏】6畳半の夢

    お題:素人の痛み



    一人用の布団に二人じゃさすがにせまいね、と笑った。
    今日は藤原夫妻の…いや、夏目くんの家に泊まらせてもらっているのだ。あの猫も隣にいるが、今はそれ以上に夏目くんと一夜を共にできるのが嬉しくてたまらなかった。
    いやらしい意味じゃなく、言葉の意味通りに。

    本当に狭いので、二人でぎゅうぎゅうに抱き合わなければならない。
    足を絡み合わせて遊んでいると、猫からの視線が痛く刺さる。まるで私の獲物に手を出すなとでも言いたげだったが、お構い無しに夏目の細腰を抱いた。
    夏目くんは本当に細っこいですね、と眠たいかすれ声で言う。すると、すぐに抗議の言葉が返ってきた。
    「的場さん。おれ、別に女の子じゃないので。そんなこと言われても嬉しくないですよ」
    そうでしたね、ごめんなさいと謝ると、いいですよと笑い混じりの返答が来る。
    今日は夏目くんもご機嫌だなあと髪を撫でていると、シャンプーの香りが舞った。
    思わずうなじに顔を埋める。ぴくりと跳ねる細腰を片手で押さえつけて、すぅと匂いを嗅いだ。
    夏目くんは無抵抗のまま体を任せきっている。それが可愛くて、愛しくて。もう片方の手 2644