だって、早く欲しいから深く、長い口付けの後、舌が絡み合った感触の余韻。
どんなに長く触れ合っていても物足りない。もっと俺を求めて欲しい。
思わず唇に指で触れると、高野さんが優しい目をしながら俺の唇をなぞる。
「何?まだし足りなかった?」
意地悪げな顔をして高野さんがクスリと笑う。俺は顔が赤くなっているのを自覚しながら無言で頷いて高野さんの首に腕を回した。
再び重なる高野さんの唇。高野さんの舌を迎え入れるためにそっと口を開く。
高野さんは俺の気持ちを確かめるかのように丁寧に俺の咥内を侵していく。
「ふ……ん、んぅ……」
高野さんの舌が歯列をなぞり、舌の裏側を擦り上げていく。何度も角度を変えながら繰り返される深い口付けに負けまいと自分からも舌を伸ばして高野さんの舌に絡める。
「ん……ぁふ……たかの、さ……」
息を吸う暇もない程の深いキスの後、名残惜しく唇が離れていくと唾液が糸のように2人を繋いでいた。
「……もう、終わり……ですか……?」
名残惜しさに思わずそんな言葉を言ってしまい、恥ずかしくて下を向く。
高野さんは俺の顔を見て驚いた顔をした後、幸せそうな笑みを浮かべた。
「小野寺……もっとしたいの?」
からかうように耳元でそう囁かれて俺は益々顔を赤くしてしまう。
高野さんはクスクスと笑いながら俺の腰を引き寄せた。
「だ、だって……なんか今日は…まだ高野さんともっと……キスしてたい気分、で……」
高野さんは一瞬動きを止めて俺の顔を見つめてきた。らしくない事を言ってる自覚はある。それでもまだ触れたりないと思ってしまったのだから仕方がない。
高野さんは俺の気持ちを理解したのか、苦笑しながら優しく口付けてきた。
「そんなに煽るなよ……歯止めが効かなくなる」
「それでもいいです。歯止めが効かなくてもいいから…だから、もっとキスしてください」
そうしたらきっとお互いの好きな気持ちが体にどんどん染み渡って、きっと心も体も満たされる。高野さんの首に回した腕に力を込めて、もっとキスを強請るように体を密着させる。
「高野さんは、こんな風に誘う俺って…どう、ですか…?」
こういうベッドへの誘いには慣れていないから、思わず恥ずかしさが込み上げてきてしまう。
高野さんは一瞬驚きの表情を浮かべた後、優しく微笑んだ。
「すげー好き。めちゃくちゃ煽られる」
そう言ってシャツの下から手を滑らせて素肌に直に触れてくる。その感触に身を震わせながら、俺は高野さんに身を委ねた。
高野さんの熱い舌が俺の胸元を滑る。執拗に胸の突起を舌で愛撫され、甘い痺れが背筋を伝って腰にまで届く。
「……っや……っん……」
漏れそうになる声を手の甲で押さえて必死に堪える。それでもどうしても声は漏れてしまい、それが更に自分の羞恥を煽る。
「声、我慢しないで聞かせて」
そう言って高野さんが俺の手首を掴み、口元から外させる。
「や、だって……恥ずかし……っ」
「ダメ。もっと声聞かせて」
高野さんは舌先で胸の突起を押し潰すように愛撫しながら、空いている方の突起を指で摘んできた。両方の胸からの刺激に体がビクビクと震えて止まらない。
「あっ、あ……んぁ……」
甘い痺れが全身に広がっていき、体の力はどんどん抜けていく一方なのに中心の熱はどんどん高まっていく。
そんな状態に我慢出来ずに足を擦り合わせると膝裏を掴まれて左右に開かされ、高野さんの体をその間に割り込ませてきた。
「た……高野さ……っ」
足を閉じたくても閉じられない状態に、思わず抗議の声を上げるが高野さんは全く気にした様子もなく俺の中心に手を伸ばしてきた。
「あっ!や、やだ……」
ズボンの上からでも分かる程に反応してしまっていた俺自身を布越しに撫でられる感触に体が跳ねる。
「すげー勃ってる」
「い、言わないで下さい!」
恥ずかしくて死にそうになりながらも、体はもっと触れて欲しいと言わんばかりに高野さんの手に押し付けるように勝手に動いてしまう。
「んっ、んぁ……あぁっ……」
ズボンの上から俺自身を愛撫しながら胸への愛撫も再開されて、与えられる快感に翻弄されていく。
布越しの刺激がもどかしくて堪らない。もっと強い刺激が欲しくて無意識に腰を揺らしてしまうと、高野さんがそれを感じ取って胸の突起を強く吸ってきた。
「っあ!あ、あぁ……っん!」
もう限界が近いと察したのか高野さんは下着の中に手を滑り込ませて直接握り込んできた。
先走りと共に擦られる感覚が堪らなくて、俺は思わず高野さんの首に腕を回してしがみつく。
「た……たかのさ……っあ、も……あっん……」
「いいよ小野寺。一回イッとけ」
そう言って高野さんが手の動きを早くする。動きに合わせて上下に擦られる度にいやらしい水音が耳に届くのが恥ずかしいけれど、もうそれすら快感を煽っていく材料にしかならなくなっていた。
「あっ!あ、あぁ……んっ!も……だめ……っ!」
一気に射精感が込み上げてきて、俺は高野さんの背中に縋り付いて体を震わせながら熱を放出させた。
「はぁ……あ、あ……」
全身の力が抜けてぐったりとベッドに沈み込むと、高野さんは俺の出したモノで濡れた指を後ろに這わせてきた。
「ん……っ」
指先で入口をなぞるように動かされて体が震える。指の動きに反応してヒクヒクと蠢くのが自分でも分かって恥ずかしさでいっぱいになる。
それでもこれから与えられる快感への期待の方が大きくて、早く中に高野さんのモノを入れて奥まで突きあげて欲しいと、そんなはしたない事を思ってしまう。
「小野寺……すげーエロい顔してる」
高野さんが俺の頬を撫でながらそう言ってきた。俺はきっと今物欲しそうな顔をしてるのだろう。
「だって……早く欲しいから……」
もう恥ずかしさなんてどうでもいい。早く高野さんのモノで俺の中をいっぱいにして欲しい。その事しか考えられなくて自ら腰を揺らして高野さん自身に押し付けた。
「っ!お前な……あんまり煽ると優しく出来ねーぞ」
高野さんは一瞬息を飲んだ後、苦しげな顔をしながらそう言うと俺の腰を掴んで浮かせた。そしてカチャカチャとベルトを外す音の後、高野さんの熱いモノが俺の入口に押し当てられる。
「あっ……んんっ……」
何度か入口に擦りつけられて焦らされる感覚に身悶える。早く奥まで欲しいのに、なかなか入れて貰えないもどかしさで頭がおかしくなりそうだ。
「まだダメ。少しずつ慣らさねーと痛い思いすんのはお前なんだからな」
高野さんはそう言って、俺の腰を抱え直すとゆっくりと中に押し入ってきた。
「あっ!あ……ん……ぁ……」
少しずつ中を押し広げられる感覚に体が震える。待ち望んでいた刺激に体も心も歓喜の声を上げている。
「小野寺……っ」
高野さんが切なげに眉を寄せて俺の頬を撫でてくる。その感触にすら感じてしまい、思わず中を締め付けてしまう。
「た、かのさ……もっと奥まで……」
もう理性なんて欠片も残ってない。早く高野さんで俺の中をいっぱいにして欲しくて、奥まで突いて欲しくて堪らなくなって足を絡ませて腰を押し付ける。
「っ……煽んなって言ってるだろ」
高野さんの苦しげな声が耳に届いた直後、一気に奥まで貫かれた。あまりの衝撃に目の前がチカチカする。
「あっ!あぁ……っん……」
ビクビクと体を震わせながら中に収まった高野さんをキュウキュウ締め付けると、高野さんが熱い吐息を漏らしたのが分かった。
「高野さん…出して、俺の中に……たくさん……」
高野さんの首に腕を回してそう懇願する。もっと深く繋がりたくて足を絡ませると、高野さんは俺の足を抱え直して腰を動かし始めた。
「あっ!あぁ……ん、あ……」
激しく中を擦られる度に体が跳ねる。快感の波に溺れているような感覚に陥りながら高野さんの背中に縋り付いて必死に堪える。
「たかのさ……っあ、好き……好きです……」
うわ言のように何度もそう言って高野さんに口付ける。
「今日はえらく積極的なのな。どーいう心境の変化?」
「…え、あ、その……俺からもちゃんと、行動で示そうって……思って……」
高野さんの言葉で自分がいつもより大胆になっている事に気付かされる。
でも、好きだと思う気持ちに歯止めなんて利くはずもなくて。
「あーもー可愛すぎだろお前」
高野さんがそう言って俺を抱き締めると激しく腰を動かし始めた。その動きに合わせてベッドのスプリングがギシギシと音を立てる。その音すら俺の興奮を煽る材料にしかならない。
「ん、んッ…あ、や、そこ…へんになっちゃ……っ」
高野さんの熱いモノが感じる部分を擦り上げてきて思わず高野さんにしがみついた。
「あっ、あ……んんっ!あ……一緒にイきたい……っあ、たかのさ……」
高野さんと一緒に熱を解放させたい。1人で先にイキたくない。俺がそう言うと高野さんは優しく微笑んで口付けてきた。
「んっ!んむ……ふぁ……んん~ッ!」
舌を絡め取られ強く吸われながら、激しく腰を打ち付けられる。もう何も考えられなくて頭の中はただ絶頂を求める事しか考えられない。
「あっ、あぁ……も、だめ……っ!イく……イッちゃ……!」
「っ小野寺……!」
一際強く中を擦られた瞬間、俺は高野さんにしがみついたまま熱を放った。
少し遅れて中に広がる熱い感触に体を震わせながら絶頂の余韻に浸る。
「あ……はぁ……」
荒い呼吸を整えようと深呼吸を繰り返していると高野さんが俺の頬を撫でてきた。
「小野寺……すげー可愛かった」
そう言って優しく微笑んでくる高野さんの顔はすごく幸せそうで胸が苦しくなる。もっと好きだという気持ちが溢れて止まらなくなりそうだ。
「ん……好きです……」
何とかそれだけ告げて自分からそっとキスをすると、高野さんは俺を抱き締めて深い口付けをくれた。
「小野寺……もっと……」
キスの合間に囁かれた言葉に小さく頷いて、俺は自分からも深く舌を絡めていく。
長い口付けの後ようやく唇を離すと名残惜しそうに銀色の糸が引いてプツリと切れた。
今度は俺から高野さんを求めて何度もキスをした。
もっと触れたい。もっともっと高野さんを感じたい。
素肌で触れ合う度にその想いは膨らむばかりで、結局その夜はお互いに求め合う気持ちが尽きなくて空が白み始めるまで俺達は抱き合い続けた。
「……ん……」
カーテンの隙間から差し込む光で目が覚める。目の前に広がる高野さんの寝顔にドキリと心臓が高鳴った。
昨日は何度体を重ねただろう?思い出すと普段なら言わないような恥ずかしい台詞も沢山言ってしまった気がする。高野さんに触れていたくて、1秒でも離れているのが寂しくて、必死に背中に縋り付いていた自分を思い出して顔から火が出そうになる程恥ずかしくなる。
「っ……」
思わず恥ずかしくなって布団に潜り込むと、高野さんが後ろから抱き締めてきた。
「小野寺……おはよ」
まだ少し眠たげな高野さんの声が響く。俺は恥ずかしくて目を合わせられなくて布団の中に潜ったままで呟いた。
「……おはようございます……」
今になって急激な羞恥心が襲ってきて、高野さんに顔を見せられない。
「小野寺」
「ひゃっ!?」
そんな俺の心境などお構いなしに、高野さんは布団を捲っていきなり顔を覗き込んできた。思わず変な声が出て益々顔が熱くなる。
「……お前さ、朝から煽るの止めてくれる?」
「な、何の話ですか!?」
恥ずかしくてつい目を逸らそうとすると、それを許さないとばかりに顔を固定されて口付けられた。そのまま舌が侵入してきて口内を蹂躙される。
「んっ!んん~っ!」
「その顔。まだシ足りないって言ってるみてーだから」
「!!そっそそそそんな顔してません!」
「いや、してた」
「し、してませんってば!」
高野さんは意地悪な笑みを浮かべながら再び俺に覆い被さってくる。
「とりあえず、朝の運動付き合って?」
「………う、運動って…もう……言い方がオヤジくさいですよ……」
そう文句を言いながらも、高野さんに求められて嬉しいと思ってしまう自分は相当重症かもしれない。
「お前が可愛いのが悪い」
そう言って再び口付けてきた高野さんの背中に腕を回しながら、俺はもう少しだけこの幸せな時間を噛み締めていたくてそっと目を閉じた。