高野さんが触るとこは、全部俺は夢でも見てるのだろうか。
「あの……高野さん…こ、今夜は、帰したくないです……」
小野寺に背中から抱き締められて、蚊が鳴くくらいの小さな声だったけれど確かに聞こえた言葉。
思いきり顔を押し付けている感触に現実なのだと実感した。
「えっと…だから、その………こ、この後どうしたらいいですか?」
キャパオーバーになったらしき小野寺は真っ赤な顔で訊いてくる。確かに小野寺から誘うなんて片手で一度か二度あるか無いかだ。本人がパニックになるのも無理もないだろう。
「す、すみません…いつも高野さんに誘われてばかりだから、たまには自分からも何かしなきゃって思って……」
「小野寺……」
「で、でも、俺、こういう時の誘い方ってよく分からなくて…高野さんとしかしたことないから……だから……」
「……っ、お前な」
小野寺のその発言に、理性が揺らぐ。
「なぁ、お前……意味分かって言ってるんだよな?」
「そうですよ……高野さんに…だ、抱かれたい…って意味で言ったんですけど……」
「なら、容赦しないからな」
「……それって……んっ……!」
小野寺の身体を反転させて唇を塞ぐ。
角度を変えて何度も重ねるうちに小野寺から甘い声が漏れ始める。
「……ベッド行くぞ」
唇が触れそうな距離で囁けば、小野寺は小さく頷いて俺の首に腕を絡めた。
誘い慣れないなりに小野寺からも求めてくれる、そんな不器用さが愛しい。
ベッドルームに移動して、小野寺をそっと押し倒す。
「悪いな……余裕ねぇわ」
「あ……高野さ……んっ」
首筋に吸い付いて跡を残すと、小野寺の身体がぴくりと跳ねた。シャツの裾から手を入れて素肌に触れる。
胸を撫でまわすようにまさぐれば、小野寺の身体がふるりと震えた。
「……相変わらず感じやすいよな」
「だ、誰のせいですか……!」
「俺?」
「………そーですよ。だから、責任とってください……」
「どーやってとってほしいの?」
意地が悪いか思いつつも、小野寺の可愛いらしい反応が見たくてつい訊いてしまう。
「どうやってって……そ、れは……」
視線を右往左往させて言葉を詰まらせながらも、小野寺は俺の手を取ると自分の胸に触れさせた。
「……さわってください……ちゃんと気持ちよくして……」
「っ、お前な……」
「あっ、や……っ!」
思わずシャツ越しに胸の飾りに吸い付くと小野寺が甘い声を上げた。
「ふ、あ……っきもちい……っ」
舌先で軽くノックするようにつついたり、押し潰してみたり、時には甘噛みしたりすれば小野寺は嬌声混じりに気持ちいいと何度も零した。
赤く色づいた胸の突起はいやらしく触って欲しげに主張してぷっくりと膨れている。
「や、やだ……恥ずかしい……」
「いーじゃん。俺しか触らねーんだし、小野寺の可愛いおっぱい独り占めしてぇの」
「ならおっぱい、飲んでみます…?男だから、何も出ませんけど……なーんて…っえ、ん、あ、ふあ……っ」
冗談めかしたつもりだろうけど、まるで誘い文句だ。
誘われるままに赤く熟れた胸の果実を口に含めば小野寺は甘い声を上げた。
片方は指で摘んで捏ねくり回して、もう片方は吸い上げて舌先でつつく。その度に小野寺の腰が揺らめいているのに気付いて、思わず笑みが零れた。
「気持ちいい?」
「あっ……あ、ん……きもちい……です……」
「どっち弄ってても感じてるみてーだしな」
「……だ、だって……高野さんが、さわるとこは……全部、おれ……きもちい……から……」
俺の触る場所は小野寺にとっては全てが性感帯になって、どこもかしこも感じてしまうようだ。
「そんなに可愛いこと言ってくれるんなら、両方可愛がってやんねーとな」
「や、あっ!あ、あん……っ」
胸の突起を舌で転がしては吸い上げるのを繰り返すと、小野寺の嬌声が一層甘くなる。
「あ、あ……やぁんっ!おねが……い……こっちも……」
胸を可愛がる俺の頭をぎゅっと抱き締めて、小野寺は自分の下肢へと誘導する。そこはもうすっかり反応していて、窮屈そうにズボンを押し上げていた。
「ん……ここ、キツそうだな」
ベルトを外してズボンの前を寛げてやると、小野寺は恥ずかしそうにしながらも腰を浮かせて脱がすのに協力する。下着ごと剥ぎ取って一糸纏わぬ姿にすると小野寺は恥ずかしそうに足を閉じようとしたけれどそれを阻止する。
「こら、ちゃんと足開いてろよ」
「や……はずかしい……」
「今更だろ?」
「……そう、ですけど……」
小野寺の膝を立たせて足を開かせると、すっかり勃ち上がって先走りを零す小野寺自身が目に入った。
「や……っ」
「すげーな、もうこんなになってる」
「あ、あ……っ」
そっと握り込んで上下に扱いてやると小野寺は甘い声を上げる。先端から溢れる先走りを塗り込むようにして扱けばぐちゅぐちゅと卑猥な水音が部屋に響いた。